「IT経営百選」に見る理想の中堅企業WPC EXPO 2005 Report(1/3 ページ)

経済産業省と情報処理推進機構(IPA)は中小企業のIT化支援を目的に、2004年8月に「IT経営百選選考委員会」を組織した。そのいきさつと選定結果が「WPC EXPO 2005」で紹介された

» 2005年10月28日 08時43分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]

  宍戸周夫

 中堅・中小企業だから大企業に劣っている、という考え方は短絡的だ。中小だからこそやりやすいこともある。たとえば、集中と選択という考え方を浸透させようとした場合などには、大企業ではできないスピードで実践することが可能だ。中堅・中小企業が自社の得意分野に特化したビジネスモデルを構築すれば、価格競争に巻き込まれず、余裕を持って勝負できる。

 組織の全体最適化もこれに当てはまる。組織が小さいからこそ、企業戦略が組織の末端にまで浸透し、全社一丸のパワーを発揮できる。そうした中小企業特有の優れたビジネスモデルが、経済産業省管轄の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が事務局を務める「IT経営百選」で明らかになっている。

IT高度利用とビジネス戦略の両面から選定

 経済産業省と情報処理推進機構(IPA)は中小企業のIT化支援を目的に、2004年8月に「IT経営百選選考委員会」を組織し、同年秋からその選定作業を開始した。そのいきさつと選定結果が、10月26日から29日まで東京・有明の東京ビッグサイトで開催されている「WPC EXPO 2005」の「WPCフォーラム2005」(中堅・中小企業の経営羅針盤「IT戦略推進フォーラム」)で紹介された。

中小企業IT化のモデル

 スピーカーは、経済産業省商務情報政策局の野口正情報化人材室長。「自社が何で勝負するかに関して、経営戦略を明確に決め、その目的達成のためにITを使うというスタンスをきちんと打ち出している中小企業がある。それらの企業は非常に高い売上高経常利益率を達成し、また顧客満足度、従業員満足度、さらには、パートナー、社会に対する満足度を向上させている」という。

経済産業省商務情報政策局の野口正情報化人材室長

 売上高経常利益率は企業の収益力を測る代表的な経営指標で、売上高に占める経常利益の割合をパーセント表示したもの。中小企業庁は、中小企業の健全企業平均指標として、製造業で4.7%、小売業で4.4%、卸売業で2.0%という数字を出している。特に、今回のIT経営百選において認定されている企業は、昭和電機が18.1%、中田製作所が12.6%など、平均を大きく上回る数値を出していることが注目される。

 中小企業におけるIT化という視点からは、これらの企業は代表的な企業といっていい。その選定の目的と経過について、野口室長は次のように述べた。

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