「IT経営百選」に見る理想の中堅企業WPC EXPO 2005 Report(3/3 ページ)

» 2005年10月28日 08時43分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]
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大阪の中田製作所の強み

 たとえば、大阪のアルミの微細加工メーカーである中田製作所は、アルミ加工で8ミクロンの穴まで開けられるという高い技術力を持つ一方で、多品種少量生産を通り越して、“多品種一品生産”、つまり注文に応じてどのような製品でも作るようなビジネスを展開している。「合い見積もりをしない」、つまり、価格競争はしないという経営方針で、4億円の売り上げの中から5000万円の経常利益を確保している。

 同社の営業活動はインターネットが中心。そのホームページや図面管理システムはすべて自社制作し、ノウハウを取り込んでいる。しかしどちらかというと、ITの高度化利用という以前に、高い技術力と独自のビジネスモデルで強固な経営基盤を作り上げている企業という位置づけの方が近い。

昭和電機のこだわりの経営スタイル

 また、売上高経常利益率で最高の数値(18.1%)をマークした大阪の産業用送風機メーカーである昭和電機も、こだわりのビジネスモデルを持っている。加工・組立工程では、一人一個流し生産方式を採用し、1台からの受注に対応するという経営方針だ。また、それを支援する仕組みとして、技術情報をデータベース化し、社内のどこからでも検索できるシステムを作り上げている。

 またこれによって、営業部門も顧客からの問い合わせに対して、平均10分というレスポンスで回答、コミュニケーション力を強化している。

 同社の取り扱い機種は5000種以上に上っている。そして、最新データを登録した技術資料検索システムを全国の営業所で利用できるなど、営業、設計、生産、さらには経理に至るまでの一貫した情報システムを構築している。

 これらは、ITを大いに利用したこだわりのビジネスモデルによって健全経営を実現している企業だ。

 次回もIT経営百選の事例から、中小企業のIT化の理想像を考えてみたい。

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