中堅企業のコンサルタント活用法――「先生コンサル」には気をつけろ上手にパートナーを選ぶために(1/6 ページ)

中堅企業とコンサルタントは本当の意味で効率的に仕事ができているだろうか。中堅企業と仕事をすることが多い私は、彼らからコンサルタントに対する苦言を聞くたびに疑問を感じてしまう。

» 2005年10月24日 07時49分 公開
[神宮司 剛,ITmedia]

  神宮司 剛(ヘッドストロングジャパン シニアコンサルタント)

 営業を見直して売り上げをアップしたい、業務の無駄を省きたい、社員をやる気にさせる人事制度を導入したい……。課題や必要性は分かっていても、ノウハウがなく、思うように取り組めていない企業も少なくない。そのため、人材が不足がちで、有識者を抱えておくことが困難な中堅企業にとって、コンサルタントの力を借りることは有効な選択肢の1つになる。実際に、コンサルタントを活用している企業はたくさんあり、また、中堅企業へのサービス提供を中心に活動しているコンサルタントも多い。

 だが、中堅企業とコンサルタントは本当の意味で効率的に仕事ができているのだろうか。中堅企業と仕事をすることが多い私は、彼らからコンサルタントに対する苦言を聞くたびに疑問を感じてしまう。そこには、コンサルタント自身や、コンサルタントを使う企業がそれぞれに持つ事情や課題があるようだ。

 そこで、本稿ではコンサルタントを使う企業の視点に立ち、コンサルタントを有効に活用するための勘所についてまとめてみたい。

コンサルタントに翻弄される中堅企業

 中堅企業では、外部有識者のアドバイスが必要なときにコンサルタントを使うことが多い。コンサルタントが、月1回程度企業を訪問し、経営者や管理者と数時間お話をするといった具合だ。このようなコンサルタントをここでは「先生コンサル」と呼ぶことにする。実際、彼らは、先生と呼ばれることが多い。

 この先生コンサルだが、現場の担当者に必ずしも評判がいいわけではない。「言うは易し、行うは難し」と感じることが多いようだ。仮に、先生コンサルタントを「A」さんと設定して、よく見られる場面を考えてみる。

A 社長から大体の話は聞きました。

担当 ええ、実は、在庫を減らせと言われまして。何かいい方法はありませんか?

A 在庫は減らそうと思って減るものではありません。SCM(サプライチェーンマネジメント)を導入してはいかがですか。

担当 SCMですか。聞いたことはありますが、どんなものですか?

A 原材料調達、供給から最終顧客への商品納入にいたるサプライチェーン活動を全体的に統合し、経営戦略と連動させてシステム的に管理する、それがサプライチェーンマネジメントです。

担当 なんだか難しそうですね。具体的には何をしたらよいのですか?

A 決して難しくはありません。サプライヤーから顧客までの情報の連携スピードを速くするように、ビジネスプロセスを再構築するのです。まず来月までに、仕入業務と販売業務の問題を洗い出して、改善策を検討してみてください。

担当 はい、分かりました。(しかし、言っていることが分からないし、どうしたものか)

 まあ、これは極端なフィクションだが、実際に先生コンサルと接したことがある現場の方であれば、当たらずとも遠からずと感じるのではないか。担当者にしてみれば、現場の事情をくんだアドバイスや具体的なやり方を教えてほしいのに、本に書いてあるようなことを並べられても、迷惑なのが本音だろう。

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