中堅企業のコンサルタント活用法――「先生コンサル」には気をつけろ上手にパートナーを選ぶために(2/6 ページ)

» 2005年10月24日 07時49分 公開
[神宮司 剛,ITmedia]

現場に下ろさない方がいい

 先生コンサルを現場で生かすには、企業にかなりの能力が求められる。なぜなら、「お話」を現場に落とし込む作業を企業自身が行う必要があるからだ。しかしながら、それが難しいから助けを求めているのだ。『人はパンだけではなく、神の言葉1つ1つで生きるもの』(新約聖書 マタイによる福音書4:4)ではあるが、言葉だけでは満たされないのも現実であり、人間なのだ。

 特にビジネスの現場で課題に直面している担当者にとって、理論と現実の間にはかなり隔たりがある。個々の企業はそれぞれ異なった状況に置かれており、そこに理論や正論だけを持ち込んだとしても、必ずしも役に立つ保証はない。

 「しかし、経験を積んでいるし、何とかしてくれるのではないか……」

 これも要注意。現場たたき上げで長年の経験を積んで先生コンサルになっても、ほかの企業でその経験が生かせるかは別問題だ。どんな場合でも、自分の経験したやり方に必要以上にこだわれば、ともすれば過去の成功体験の押し付けになってしまう。

 結局のところ、先生コンサルには現場の改革や問題の解決を直接的には期待できないということだ。それどころか、あたかも経営者の代弁者のように振舞うコンサルタントが現場を混乱させてしまうかもしれない。

 現場で起きている問題を、現象そのものではなく、背後にある原因を捉えた上で、限られた人材や資金の中で実行可能な解決策を講じ、それを実行に移すのはひと仕事である。たとえ大企業にくらべてビジネスの規模が小さい中堅企業とはいえ、月1回程度の訪問で、片手間にできるものではない。

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