中堅企業のコンサルタント活用法――「先生コンサル」には気をつけろ上手にパートナーを選ぶために(4/6 ページ)

» 2005年10月24日 07時49分 公開
[神宮司 剛,ITmedia]

実践コンサルの登場

 「さあ、これで少なくとも無用な混乱は避けることができた。かといって自分たちだけで課題に取り組むのは難しそうだ。そもそも課題は何だっけ……」

 やり方も分からず、課題解決を任された担当者は大変である。現象、原因、課題を区別もなく並べ、どこから手を付けていいか分からないでいるか、目に付いた問題を片端からつぶして時間と労力を浪費してしまうといったケースも少なくない。

 遅々として課題が解消されないことにいら立った経営者が先生コンサルを呼んできて、結局はさらに事態が悪化するといった悲劇は避けなくてはならない。人材が不足しがちな中堅企業には、実際にビジネスの現場に入って、理論だけでなく、自分たちと同じ目線で問題を見て、考えて、手を動かして、問題解決や課題に取り組むパートナー「実践コンサル」が必要なのだ。

 ここで、先生コンサルと実践コンサルの位置づけを整理してみよう。

現場に実践コンサルあり

 実践コンサルと先生コンサルとの違いは見て分かるように、ビジネスの現場で、実際に自ら手を動かして実践的、実務的な取り組みを行うところにある。

 実際には、営業改革や業務コスト削減といった経営上のハイレベルな課題に対して、当該企業の責任者、担当者とコンサルタントがチームを組んで、課題に取り組む、いわゆるプロジェクト型の仕事を行う。

 実践コンサルが参画するプロジェクトは大きく課題を洗い出し改革施策を策定する企画フェーズと改革施策を実行に移す実行フェーズに大別することができる。企画フェーズや実行フェーズで取り組みやかかわりが違ってくるが、いずれにしても、実践的であること、すなわち結果を出すことにフォーカスしている。

 企画フェーズでは実行計画書といった文書が成果物になる。それは、効果が望めるものであり、かつ、実際にその企業で実行できることに主眼を置いたものとなる。たとえば、表面的な現象の裏にある原因と、それを取り除くための改革施策が、具体的に取り組めるレベルで示され、担当者とスケジュールが策定されるといった具合だ。さらに重要なことは、企業の担当者とコンサルタントがチームで仕事をする過程で、策定した計画は押し付けではなく、自分たちの計画となっていることだ。

 また、実行フェーズでは結果を出すために必要な施策を多面的に展開していく。特に改革を組織に定着させるために人に焦点を当てた取り組みを重要視する。たとえば、改革を理解し、受容するための公式・非公式な啓蒙活動や教育プログラムを実施する、社員に求める行動様式を阻害するような組織や制度の改革を行うなどだ。

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