中堅企業のコンサルタント活用法――「先生コンサル」には気をつけろ上手にパートナーを選ぶために(5/6 ページ)

» 2005年10月24日 07時49分 公開
[神宮司 剛,ITmedia]

「なんちゃって実践コンサル」には要注意

 しかしながら、実践コンサルタントにも実行不能もしくは、さらに掘り下げないと実行できないといった価値のない計画を作るコンサルタントも存在する。

 大枚をはたいたにもかかわらず、成果は大量の報告書だけといった苦言はよく聞かれる話である。あるいは悪気はないのはいいのだが、同時にスキルもなくて、結果としてそうなってしまうのかもしれない。

 さきのマトリクスでいうと、右上の象限に位置するようなコンサルタントだ。社内間調整や何階層もの決裁が必要な大企業ならともかく、中堅企業にはこうした「紙爆弾」に大枚をはたく価値はないだろう。体裁よりも結果がすべてなのだから。紙爆弾を落とす「なんちゃって実践コンサル」は、費用面で先生コンサルタントよりたちが悪く、要注意である。

 こうした目に遭わないためにも、実担当となるコンサルタントにインタビューを行い、実績や人となりを確認した上で採否を検討したい。また、依頼後も任せきりにせず、要所で作業内容と成果の確認をしていくことが必要だろう。

実践コンサル活用の価値とは

 ここまで、コンサルタントの活用方法について述べてきた。ただ、実際にコンサルタントの活用を検討する中堅企業の方は重要な点に触れていないと感じるだろう。

 そう、費用の話である。「だけどコンサルタントは高いから」という声が聞こえてきそうだ。確かに、裏紙を使って、昼休みに電気を消してコストを切り詰めている企業にとって、コンサルタントの費用は決して安くない。

 この費用は成果に見合っているのだろうか。この改革で期待される売上増やコスト減といった効果にくらべてどうなのか。想定や期待の効果で判断するのは実際のところ難しい。トップマネジメントの投資判断によるところが少なくない。

 だからといって、決して費用の大きさではなく、あくまで費用対効果での判断を行うべきだろう。そこで、実践コンサル活用のもう1つの価値について触れておきたい。

 それは、さまざまな企業や場面への対応で経験を蓄積してきているコンサルタントと一緒に仕事をすることで、社員が変わっていく点だ。人材が不足がちで、社員1人1人の役割や影響が相対的に大きい中堅企業にとっては大きな成果につながる。コンサルタントと働くプロジェクトのメンバーは、情報整理の仕方、資料のまとめ方や関係者間の調整といった新しい仕事のやり方を、実際の作業の中で目の当たりにし、体感していく。

 要するにOJTだ。この中で、彼らは仕事のやり方を真似て、理解し、少なからず自分のものとしていく。仕事に対する意識や姿勢も変わってくる。そして、これが社内に伝播していく。これこそが、中堅企業にとってコンサルタントへの投資を価値あるものとする貴重で重要な成果ではないかと私は思っている。

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