SOA環境での迅速な問題の切り分けから解決までを支援、日本IBMがTivoli新製品

日本IBMは、複数のコンポーネントが連携しあって稼動するコンポジット・アプリケーション」の運用管理を支援する「IBM Tivoli」の新製品群を発表した。Rationalとの連携も可能だ。

» 2005年11月01日 10時39分 公開
[ITmedia]

 日本IBMは10月31日、複数のコンポーネントが連携しあって稼動する「コンポジット・アプリケーション」の運用管理を支援する「IBM Tivoli Composite Application Manager(IT CAM)」の新製品群を発表した。SOA(サービス指向アーキテクチャ)環境において高いパフォーマンスとトラブル発生時の迅速な解決を実現することが目的だ。

 コンポジット・アプリケーションとは、異機種混在環境で、ときには自社のみならずパートナーのシステムに存在するコンポーネントを組み合わせ、柔軟に提供されるアプリケーションを指す。この仕組みでは柔軟かつ迅速にサービスが提供できる点がメリットだが、一方で、従来型の縦割りのシステム向けに作られたツールでは原因の切り分けに時間がかかり、管理が追いつかない点が課題となっていた。

 同社ソフトウェア事業部、Tivoliテクニカルセールス&サービスの相原誠氏によると、SOAに基づくコンポジットアプリケーションの場合、障害対応に要する時間のうち40%は問題の発見と確認に、同じく40%は問題箇所の切り分けに、さらに20%が詳細な分析に当てられ、実際のコード修正作業は20%を占めるに過ぎないという。今回発表されたツール群は、このうち問題の発見から分析までの部分を支援し、結果として障害対応全体の迅速化を図るという。

 今回発表されたツールは3種類。

 1つは、エンドユーザーの視点からWebアプリケーションのレスポンスを監視し、パフォーマンスが低下した場合はコンポーネント単位でどこに問題が生じているかを把握する「IBM Tivoli Composite Application Manager for Response Time Tracking」。トランザクションの流れを基にトポロジ図を作成し、ボトルネックになっている箇所を容易に把握できるという。すでに出荷が開始されており、価格は1プロセッサあたり97万9600円。

 2つめは、さらに細かくメソッド単位で監視、管理を行い、ピンポイントで問題箇所を発見できるという「IBM Tivoli Composite Application Manager for WebSphere v6.0」だ。価格は1プロセッサあたり162万円で、11月18日より出荷が開始される予定だ。

 最後の「IBM Tivoli Composite Application Manager for SOA」は、文字通りWebサービスの状況を監視し、可用性やレスポンスタイムに問題が発生した際の分析を行うためのツールだ。問題となっているサービスの検知から診断までを行えるほか、同社のソフトウェア開発ツール「Rational」と連携することで、アプリケーションの修正までをカバーする。価格は1プロセッサ当たり79万円で、12月16日より英語版の提供を開始する。2006年には日本語版の提供も予定している。

 Webアプリケーション運用の現場では、ユーザーから障害の報告があっても、サーバ管理者とネットワーク管理者、アプリケーション開発者、データベース管理者がそれぞれ「うちは問題ない。別の箇所の障害では?」とたらいまわしにされ、結局障害解決までに時間がかかってしまうという笑えない話もあるという。「開発者と運用者、開発ツールと運用ツールの間に壁があることが原因のひとつ」(相原氏)。

 そこで、RationalとIBM Tivoli Composite Application Managerを連携させるツールキット、2種類も合わせて提供する。IBM Tivoli Composite Application Managerで収集したデータを解析し、Rational上でソースコードのどこに問題があるかを特定し、修正し、さらにその修正が適切に行われているかどうかをチェックできるようにすることで、「問題の発見から切り分け、開発者への受け渡し、解決までを迅速に行えるようにする」(同氏)という。

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