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» 2005年11月02日 11時46分 公開

RFIDと連携して信頼感を獲得する(前編):基礎から学ぶ、トレーサビリティシステム構築のすすめ (1/3)

トレーサビリティシステムが中小企業の経営に与えるインパクトとは? 前編では今さら聞けないトレーサビリティの基礎知識を身につけよう。

[先織久恒,SOFTBANK Creative]

トレーサビリティとは

 トレーサビリティとは、英語の「トレース」(trase)と「アビリティ」(ability)を合わせた言葉で、トレースの「追跡する」とアビリティの「能力、できること」を組み合わせて「追跡可能性」と訳します。もともとは工業製品などの商品の履歴、所在を追跡する方法の概念でした。

 ISO(国際標準化機構)では、「記録物によって、その履歴、転用または所在を追求できる能力」と定義されています。

 製品それ自体の形状や材質、信頼性を保証する日本工業規格JISマーク表示認可制度とは異なり、民間の自主的な品質管理規格であり工場や事業所の品質管理システムそのものを第三者(審査登録機関)が検査し、品質保証システムが適切に機能していることを制度的に保証・評価するシステムとされています。

 医薬品などについては昔から導入されていますし、自動車や航空機などの工業製品についても既にこの仕組みは軌道に乗っています。

農産物のトレーサビリティ

 一方、農産物は製品になるまでの段階で、つぎつぎにその形を変えていくので、トレーサビリティシステムの導入はなかなか容易ではありませんでした。

 ヨーロッパのEUが食品法で、「食品、飼料、畜産加工食品、あるいは食品や飼料に組み込まれることが意図されたり、予想される物質について、生産、加工、流通のあらゆる段階をとおして、それらを追跡し、さかのぼって調べる能力」をトレーサビリティと定義しています。

 有名なところでは、BSE(牛海綿状脳症)対応のために牛肉に導入され、フランス、ドイツをはじめオランダやイタリアでもこのシステム(牛肉の品質管理と品質保証プログラム)が動き出しています。

 今後は遺伝子組み換え農作物に対してもトレーサビリティの導入が考えられており、欧州議会の第一段階を通過しました。

 農畜産物に関するトレーサビリティとは生産、加工、流通等の各段階で食品とその情報を追跡できることが注目され、スーパーに並んでいる肉、たまご、牛乳や野菜、魚などがいつ・どこで・どのように生産、流通されたかについて把握できる仕組みが求められています。

BSEと農水省の対応

 日本では農水省がトレーサビリティの導入にあたって、参考とした国はフランスで、長年、乳牛の品種改良を目的とした家畜登録制度(1969年)や、口蹄疫などの伝染病対策としてパスポート(個体の生涯記録)の作成が義務付けられていました。

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