基礎から学ぶ、トレーサビリティシステム構築のすすめRFIDと連携して信頼感を獲得する(前編)(2/3 ページ)

» 2005年11月02日 11時46分 公開
[先織久恒,SOFTBANK Creative]

 フランス産牛の個体識別番号は、飼育農家により子牛の誕生から6日以内に1頭ごとに個別番号が与えられ、耳標(タグ)と作成する登録書類(パスポート)の双方に記入されます。

 牛の個体識別番号は、フランスの国名コード「FR」の後に10桁の数字が並んだもので、最初の2桁は県番号、次の4桁は生産者番号、そして最後の4桁は農場で牛が誕生した順番を表しています。

 「e-Japan 戦略」には、2004 年までに、

  • 100%の国産牛について、個体識別番号により、BSE発生等の場合に移動履歴を追跡できる体制を整備する
  • 2005年までに、100%の国産牛の精肉(挽肉、小間切を除く)について、生産履歴情報がインターネット等で確認できる体制を整備する
  • 牛肉以外の食品について、その特性に応じたトレーサビリティシステムを早期に開発し、対応する
  • 2005年度までに、食品流通業者のおおむね半数程度が電子的な取引を実現するとともに、経営にITを活用する農林漁業経営者を大幅に増加させる

と記載されています。

工場でのトレーサビリティのシステム

 食品以外の生産工場では製品個々に個別識別情報、個別製品情報を表示・管理することにより、製品の追跡を可能にし、生産管理データベースを元に出荷表示、および出荷管理していきます。

 具体的には各詳細をコード化・通信等ネットワークにより集約・1つのコードに集約・最終出荷単位へ表示等を構築した上で、製品完成段階・倉庫格納段階・出荷段階で読み取り管理していきます。

これらの情報を集約・データ化して表示し、入出荷時に読み取り管理します。

トレーサビリティの新潮流

トレーサビリティシステムに取り組むことの重要性・必要性

 トレーサビリティというのは、生産から加工さらには流通経路を経由して消費者の手元に届くまでが明らかになることですから、方向性としては製品や商品の履歴や由来を明らかにするといういわゆる「上り方向」のトレーサビリティと、製品や商品の行き先を知ることを可能にするという「下り方向」のトレーサビリティが存在します。

 「上り方向」のトレーサビリティは消費者が求め、「下り方向」は企業側が求めています。企業側には、この2つの方向を有効に活用して行こうという考えが広まっています。

 また、安全の世界では「疑わしきは許容せず」の考え方が主流ですから、企業の説明責任の観点から積極的にトレーサビリティを有効に活用して行こうという考えも広まっています。

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