「常に新しいことに挑戦したい」とソニーグローバルソリューションズの大野部門長待望! 次世代ITリーダー(2/4 ページ)

» 2005年11月07日 07時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]
「人それぞれゴールは違う」と大野氏

 かつて、ITの仕事といえば、プログラマーから始まり、SE、プロジェクトリーダー、そしてプロジェクトマネジャーになるという階段があった。しかし、今ではアプリケーションエンジニアやアーキテクトもあれば、極論するとプログラムを書くのではなく、PowerPointを使って業務を改革していく人たちもいる。職種は細分化され、それに伴い、目指すべきゴールや選択肢も増えている。

ITmedia 職種の細分化をどうとらえていますか。

大野 才能(タレント)は個々に違うと思います。プログラミングをやらせれば生産性は高いが、コミュニケーション能力に難がある人、プログラミングはいまいちだが大局的にものが見え、大きな要素に分解できる人、リーダーシップがあって人を説得する力がある人、計画がうまい人……、人はそれぞれ専門的な能力に違いがあります。大切なことは、それぞれの特徴を生かして伸ばしてあげることです。ついでに言えば、どこのゴール、つまり職種が一番高いところに位置するのかは会社によっても違うのです。会社にもスタイルがありますから。


 1992年、大野氏はソニーの情報システム部門が独立して誕生したソニーグローバルソリューションズ(当時はソニーシステムデザイン)に移る。今では総勢100名に近い部門を統括する大野氏は、最近「チームビルディング」の大切さや難しさをITリーダーとして痛感しているという。

 「サッカーはフォワードばかりでは勝てないし、野球も4番バッターばかりでは勝てないのと同じです。俊足の人、犠打のうまい人も必要です。それぞれの役割をきちんとこなす人をつくれるかがプロジェクトに大きく影響してきます」(大野氏)


ITmedia 人材は期待どおりに育っていますか。

大野 人は育つものではなく、育てるものだと思います。これもリーダーに期待される役割の一つで、多くの人たちが悩んでいるところです。昔のリーダーは、ある意味、上意下達でした。でも今は、率先垂範。自分たちの背中を見せて人を育てていく時代だと思います。


 大野氏は、一緒にプロジェクトを進めるスタイルでのマネジメントを心掛けているという。もちろん、Javaのコードを書いていくのではなく、方向性を示し、率先垂範してリードしていくのだという。

 「現場の人たちと話ができることが重要。理解するベースがないと現場の人たちと話ができず、裸の王様になってしまう。“とにかくうまくやれ”では責任転嫁の連鎖になってしまう」と大野氏。

常に新しいことにチャレンジ

 今でこそミドルウェアが成熟し、そのアーキテクチャーに沿った形でシステムを構築できるようになっているが、かつては常にアーキテクチャーの設計を行い、アプリケーションが載るレイヤーをつくるのが当たり前だったという。

 「オブジェクト指向は、今でこそ流行りですが、当時も部品化して再利用しようと常に考えていました」(大野氏)

 大野氏は「これは自分の性格もある」としながらも、常に新しいことに目が向いたと話す。同じことを繰り返すのではなく、新しい技術で業務システムや業務プロセスを変えていこうと考えていたという。

 「技術は習得がゴールではなく、それをどう使ってシステムやプロセスを変えていくかがゴール。しょせん、技術は道具にすぎません。今まで不便だったことを便利にしたり、実現不可能だったことを可能にするのが道具です。プログラミングやシステム構築の新しい知識によってシステムやプロセスを変えていくことが重要なのです」(大野氏)

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