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» 2005年11月07日 08時51分 公開

SOAでつくる変幻自在の情報システム:SOAの何が新しいのか? (1/4)

SOAとは何なのか?  あまり明瞭にされていない。というのも、根本は古くからあるアイデアであるからだ。とはいえ、SOAが単なる「リバイバル」的なブームなのかというとそうではない。

[渡邉利和,ITmedia]

 SOAで企業の情報システムはどのように変化するのか。オンラインムック「SOAでつくる変幻自在の情報システム」で探る。

渡邉 利和

 SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャー)が注目を集めている。ITベンダー各社はこぞってSOA対応の製品やサービスの品ぞろえを拡充しており、従来の意味とは微妙にニュアンスを変えた「ミドルウェア」なる語が突然重大な要素として脚光を浴びたりしている。業界的には、SOAを次世代のアーキテクチャとして全面的に推進していく合意が出来たかのようだ。

 しかしながら、SOAとは何なのか?  この点に関してはあまり明瞭にはされていない。というのも、SOAの根本は古くからあるアイデアであり、今この時期に突然登場したというわけでもないからだ。とはいえ、SOAが単なるかつてのコンセプトの「リバイバル」的なブームなのかというと、そうではない。今回は、まずその辺りから紹介していこう。

 SOAでは、情報システムを「アプリケーション」という単位ではなく「サービス」という視点で考えるように発想を転換しようという。これは、プログラマー的な視点から見ると、「結局のところ書かれたコードをどう呼んでみたところで、コード自体に違いはない」という話になってしまい、無意味な言い換えにしか見えなくなってしまう。

 しかし、この根本的な意味は何かというと、プログラマーの視点、あるいはITの視点ではなく、ビジネスの視点でシステムを再点検しようという点にある。ビジネスの視点で情報システムを見るということは、要するに、実装の詳細には踏み込まず、それが実現する機能にのみ注目する、という意味にもなるだろう。

 例えば、「受注処理」という機能があるとする。これをITの視点で見れば、さまざまなプログラムを用意し、入出力を繰り返しながらデータを生成/変更していくプロセスだ。その過程でどのような情報をどのような形式でデータ化したか、といった問題が後々の制約条項となって、容易には変更しにくい「アプリケーション」となっていく。

ビジネスの視点とITの視点

 一方、ビジネスの視点では「受注処理」はあくまでも完結した一つの処理であり、かつ商取引の入り口のところで常に実行される基本的な処理である。従って、どのような取引であっても受注処理は共通に実行できるべきだと考えることになるかもしれない。

 例えば、Webサイトで展開するコンシューマー向けのオンラインショッピングサイトでも、部材仕入れなどに使われるエクストラネット経由でのパートナー企業との取引も、いずれも同じ受注処理が実行されると考えられる。

 ITの視点では、受注が行われてくる経路やデータ形式が全く異なるし、受注の際に確認すべき情報の内容が違うから別のアプリケーションにそれぞれ実行する、という考え方になるかもしれないが、そうした実装面の詳細を隠蔽して「サービス」という単位で機能を組み合わせていけるようにする、というのがSOAの基本的な考え方だ。

 とはいえ、実のところSOAという場合、その考え方を実現するためにはどうすればいいのか、という詳細までは語っていない。大目標だけを提示して、実装の方針を示していないのだから、これはアーキテクチャーというよりは理念とかコンセプトとか呼ぶべきもののようにも思えるが、だからこそ逆に古くから連綿と生き残っているということもできる。

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