新たなロボット工学3原則はコミュニケーションありき(2/2 ページ)

» 2005年11月09日 17時45分 公開
[早川みどり,ITmedia]
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NECが考える新・ロボット工学3原則

 「ロボットは人間に危害を加えてはならない」「ロボットは第1条に反しない限り、人間から与えられた命令に服従しなければならない」「ロボットは前掲第1条および第2条に反する恐れのない限り、自己を守らなければならない」とは、有名なロボット工学3原則である。単純な目的のために単純なルールを定めたこの3原則、実は非常に実現困難なものであることはよく知られている。例えば、第1原則である「ロボットは人間に危害を加えてはならない」について、ここでいう人間とはどう定義するのか、また、危害とはどう定義するのか。ある事象について考え得るすべての可能性を抽出し、それを考慮することは無限の時間を必要とする。フレーム問題と呼ばれるこの問題に対応するため、これまでのロボット研究では、限定した状況下で推論するというアプローチを取ってきた。

 ところがNECでは、そもそも実現困難なロボット工学3原則をベースに考えるのではなく、人とのかかわり合いの中で、「自然な形で対象を把握すること」「価値観を持ち主張する個性を持っていること」「得意技を持っていること」を新しいロボット3原則と定義し、それを体現するものとしてパペロを開発した。

 ロボットという言葉は、1921年にチェコスロバキアの作家カレル・チャペック氏が作った造語で、その語源は「ロボタ」=「労働」という単語に由来するという。つまりロボットとは、「人間に代わって働いてくれるもの」という意味なのだ。その意味では、冷蔵庫や洗濯機といった家電も広義のロボットといえる。

 しかし、こうした家電とはコミュニケーションが取れない。「人間に代わって働いてくれるもの」という部分がかなりのレベルで実現されてきた現在、これからのロボットに必要なのは、コミュニケーションを通じて時間や空間を共有する、つまり、「一緒に暮らしている」という感覚をユーザーに与えることである。その部分に主眼を置いたのがパペロだ。ロボットだけでなく、それに接する社会にも着目したパペロはまだ開発中ではあるが、新たなコンセプトを携えて自宅にやってくる日も近い。

資料提供:日本電気株式会社

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