ERP導入効果の最大化を目指すITサービス

企業がERPを導入すると、その瞬間から、システムを最新かつ安定的に稼働する状態に常に維持するための活動が始まる。こうしたニーズに専門的に対応しているのが米Intelligroupだ。

» 2005年11月11日 20時37分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 企業がERPを導入すると、その瞬間から、システムを最新かつ安定的に稼働する状態に常に維持するための活動が始まる。ビジネスプロセスの変更や取引先の新規追加、毎日新たに蓄積されるデータの効率的な処理、あるいは、ERPベンダーから配布される最新パッチを反映させるなど、情報システムは日々の手入れを怠ることができない。

 こうしたニーズに専門的に対応しているITサービスプロバイダーが、米欧、アジアを拠点にビジネスを展開する米Intelligroupだ。同社は、「ERPライフサイクル管理」を掲げ、ユーザー企業がERPを導入、運用するに当たり、アップグレードやパフォーマンス管理、バグ対応などにおいて、ツールの提供を含めてさまざまなソリューションを提供している。売上高で10億ドル以上の企業が主なターゲットだ。

 来日した同社のビクラム・グラティCEOと、日本法人であるインテリグループジャパンのウナマタラ・スリニワス社長に話を聞いた。

ビクラム・グラティCEO

 「企業にはコストよりも時間の方が大切な場合がある」と話すグラティ氏。アプリケーションのバージョンアップの取り組みでは、ユーザー自身が行った場合は2年かかるものが、Intelligroupのソリューションを利用することで2カ月で済む場合もあると説明し、ビジネス展開する上でのスピードの重要性を強調した。

 それを可能にするのが、同社が持つさまざまなツール群だという。その1つに、アップグレードの際に必要となるアドオン分析を実施する「Uptimizer」がある。アドオンプロジェクトの総数や稼働履歴、エラーが起こるアドオンオブジェクトの総数などを把握する作業を自動化することができる。人手を使うと数カ月かかる作業を4日程度で完了できるという。

 そのほか、SAPシステムのアーカイブ戦略策定を支援するサービス「ArchivePac」、サポートパッケージ適用によって起こる不具合の箇所や原因を分析するサービス「HotPacAnalyzer」、アドオンプログラムをシステム、SQL、アプリケーション、ABAPの4つの観点から分析し、総合的にパフォーマンス改善を図る「SPEED」などを提供している。

 「われわれは企業のERPアプリケーション運用を代わりに請け負うアウトソーサーではない。ERPライフサイクル管理はあくまでも、企業に付加価値を提供するものだ」(グラティCEO)

日本法人のウナマタラ・スリニワス社長。

 実際に同社のソリューションを利用するユーザーとしてスリニワス氏は、SAPのERPパッケージを導入している丸紅のアップグレードを事例として挙げた。丸紅の情報システムには2万件に及ぶアドオンプログラムがあり、それを含めて、システム全体を短期間で新たなバージョンにアップグレードする必要があった。同社は、Uptimizerなどを活用することで、迅速に対応することができたという。

 ERPを上手に使うためには、アップグレードによるバージョン管理やパフォーマンスの改善などは非常に重要な作業になる。独自のツールの提供を含めて、こうした問題を解決するIntelligroupのビジネスに注目が集まりそうだ。

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