ケータイから車載、オフィス機器へとすそ野を拡大するJava MEInterview(1/2 ページ)

誕生10周年を祝うJavaは携帯電話の60%に搭載されるなど、コンシューマー分野でも応用範囲を拡大している。Sun Microsystemsクライアントシステムグループのアラン・ブレナー副社長に話を聞いた。

» 2005年11月14日 15時27分 公開
[栗原 潔,ITmedia]

今年、誕生から10周年を祝っているJavaは、企業システムの構築に欠かせない存在となった。その一方、携帯電話の60%に搭載されるなど、コンシューマー分野でも応用範囲を拡大している。それもそのはず、Javaは十数年前、TVセットトップボックスや携帯情報端末のプロジェクトとして産声を上げたのだった。「JavaOne Tokyo 2005」のために来日したSun Microsystemsクライアントシステムグループ(CSG)のアラン・ブレナー副社長に話を聞いた。

クライアントシステムグループのアラン・ブレナー副社長

ITmedia では、最初にブレナーさんのSunにおける権限範囲を教えてください。

ブレナー  第一に、Java MEとそのターゲット機器、例えば、携帯電話、TVセットトップボックス、自動車搭載システム、Javaカードなど、そして、買収したTarantellaのセキュアデスクトップ製品やSun Rayなどのクライアント機器です。StarOfficeなどのオフィススイート、メッセージングやカレンダー&スケジューラーなどのコミュニケーション製品も私の担当です。つまり、Sunが提供しているものの中で、エンドユーザーに直接的に見えるものはすべて私の担当範囲といっていいでしょう。

ITmedia Java MEは以前はJ2MEと呼ばれていましたが、なぜ名前を変更したのでしょうか。

ブレナー 製品名そのものにバージョン番号が入っているのは混乱を招くからだと思います。

ITmedia 最近の流行にしたがって、J2ME 2.0とでもすればよかったのではないですか?

ブレナー そうすると、次のバージョンの時にJ2ME 3.0となってしまい、2なのか3なのか混乱してしまいますよね(笑)。まさに、それが名称変更の理由だと思います。

ITmedia Java MEの領域では、携帯電話でかなりの成功を収めたと思います。最近特に大きな動きはありますか?

ブレナー 昨日の基調講演でもお話ししたように、現在世界で出荷されている携帯電話の60%にはJava機能が搭載されています。

ITmedia その60%のうち、実際にJavaを利用しているユーザーはどの程度でしょうか?

ブレナー それを推定するのはかなり難しいですね。しかし、利用率を押し上げるであろうさまざまな動きが進行中です。例えば、MIDP(Java MEのプロファイルの一つ)機能を持つ携帯電話からGoogleが提供するgmailにアクセスできる機能のβ版が発表されています。モバイルアプリケーションを単にデスクトップアプリケーションの単なる機能縮小版ではなく、デスクトップアプリケーションを補完するものとして活用する動きが広まっていますが、Java MEはそのような目的に適しています。

信頼性とユーザー体験の向上が課題

ITmedia 今後、ユーザー層を拡大していく上での課題を教えてください。

ブレナー 大きな課題の一つとして情報システム部門における信頼の問題があると思います。個人向け携帯機器をエンターテインメントの領域だけではなく、一般のビジネスに使うためには、厳密な管理機能が必要になってきます。これについては、JCP(Java Community Process)を通じての対応が進んでいます。

 もう一つの重要な課題は、今まで以上にユーザーエクスペリエンスを向上することです。ここで重要な点は、アプリケーション間の統合を推進することです。そのためには、WebサービスやXMLのテクノロジーが重要な役割を果たすでしょう。

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