「地球シミュレータ」は東京を長周期地震動から救えるか――地球シミュレータと耐震ビルがつながる未来コンテンツ時代の未来予想図(3/6 ページ)

» 2005年11月22日 13時28分 公開
[中村文雄,ITmedia]

迫る東海地震――長周期地震動が東京の高層ビルを揺らす

 東海地震の起きる確率は、30年以内に80から90%と指摘されており、最も警戒すべき地震である。もし、東海地震が起きたら、どのような被害がもたらされるのか、実際にはよく分からない面も多い。中でも、都心の高層ビルなどの大規模構造物は戦後に建設されたもので、これまでに強い長周期地震動の影響を受けたことがない。

 古村助教授は、東海地震で発生する長周期地震動のシミュレーションを行った。次の東海地震が起きた場合、過去の歴史から東南海地震と東海地震の2つの地震が連動する可能性が高い。そこで、古村氏は紀伊半島沖から駿河湾までの約300キロにわたる断層破壊を想定して、地球シミュレータでシミュレーションを行った。そのとき発生するエネルギーはマグニチュード8とし、計算対象は周期2秒以上の長周期地震動に絞った。

 そのシミュレーション結果が以下の図だが、こちらでシミュレーション結果の動画も見ることができる。動画では、震源から発生した地震波が東海、関東へと広がっていく様子がよく分かる。東京都心には約90秒後に到着するが、そのとき、堆積層の深さが3000から4000メートルの都心では6秒から8秒程度、堆積層の深さが6000から7000メートルと関東地域で最も深い千葉県姉ヶ崎周辺では12秒という長周期地震動が多く発生する。また、多くの地域の地震動がおさまっても、名古屋、静岡、東京の平野部分では震動が長く続くことが分かる。

東海地震で発生する長周期地震動のシミュレーション。赤い色ほど地震波が強い

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