「地球シミュレータ」は東京を長周期地震動から救えるか――地球シミュレータと耐震ビルがつながる未来コンテンツ時代の未来予想図(5/6 ページ)

» 2005年11月22日 13時28分 公開
[中村文雄,ITmedia]

理想は3Dムービーによる全視点からのチェック

 ここで紹介した東海地震のシミュレーションのムービーのように現在のコンピュータシミュレーションでは、可視化技術が重要になっている。もし、シミュレーション結果が数字データだけだとしたら、数十億個の格子で計算した地震波データを評価できない。最適な可視化をすることが、最適なシミュレーションをすることと同じくらい価値がある。

 「10年くらい前にワークステーションでシミュレーションしていたころは出力するデータが少なく、地震波形のグラフを見るだけだった。地球シミュレータでは計算結果を可視化しなければ全体を把握できない。そこから地殻モデルのチューニングが始まる」(古村助教授)

1923年の関東大震災をシミュレーションした3Dムービーの一部

 東海地震のシミュレーションのムービーを見ると、地震波の伝わり方がよく分かる。ただし、これは地表だけの伝わり方で、地下での地震波の伝わり方を見ることはできないため、3次元データをムービーにして見る工夫が進められている。ただし、数百コマのムービーにすると、テラバイト単位の膨大なデータ容量となり、データを取り出すことが難しい。

 古村助教授は、シミュレーション計算と同時にボリュームレンダリングを行って3Dムービーのデータを抽出するツールを用いている。一つの視点からの3次元データではあるが、このツールによって3Dムービーをいつでも見られるようになった。古村助教授は、「1点固定の3Dムービーでも研究に役立つが、視点を動かしながらムービーを見られることが理想」とコメントする。

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