遠い将来、映画「AI」に登場したようなヒューマノイドが完成したとき、「21世紀初め、ヒューマノイドは人間らしい動きを獲得した後、“感情”という機能を必要とした」と紹介されるかもしれない。なぜなら、世界で初めて2足歩行ロボットを開発した研究室が、今、“感情”という機能を搭載したロボットの研究を進めているからだ。
ほおをなでると喜び、ほおを叩くと怒りの感情表現をするロボットが、早稲田大学理工学部機械工学科の高西淳夫教授の研究室に存在する。ボールを目の前に出せば、興味を持ったように顔を近づけ、あまりにボールを近づけると驚いたような表情をして後ろにのけぞる。その様子はこちらのムービーで見られるが、ロボットが感情を表現している様子は、想像以上に人間に近い。
このロボットは、高西教授らが開発した「WE-4RII」。その人間のような動きには秘密がある。頭の動きと目の動きに注意しながらムービーを見ると、WE-4RIIの目と頭はお互いの動きを補完しあう微妙な動きをしている。ボールを見るだけならCCDカメラで撮影できる範囲なので、WE-4RIIは頭を動かす必要はない。この目と頭の補完しあう動作は、生理学で「前庭動眼反射」と呼ばれる人間なら誰でも持つ動作を模倣したものである。それに加えて、WE-4RIIには「感情」の機能が搭載されており、新たな刺激に対して“意識”を向けるように作られていることも、動作をさらに人間らしくしている。
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