SOAを小さく始めようSOAでつくる変幻自在の情報システム(2/3 ページ)

» 2005年11月30日 09時13分 公開
[栗原 潔,ITmedia]

SOAのキラーアプリケーション〜レガシー統合

 企業内のレガシー資産、典型的にはメインフレーム上のアプリケーションの老朽化による問題の解決のためには幾つかの手段がある。メインフレームを撤廃し、新しいシステム上でアプリケーションを再開発することだけが唯一の選択肢ではない。特に、レガシーアプリケーションの機能の一部が有効に機能し、ビジネス上の価値を提供している場合には、それを撤廃して、またゼロから作り直すことは効率的な投資とはいえないことも多いだろう。

 しかし、レガシーアプリケーション自体の機能拡張は、マシンの処理能力の問題、開発者スキルの不足、さらに、長期的な保守によってアプリケーションが複雑化している、といった問題により、困難なことが多いと思われる。このような場合の解決策の一つが、レガシーアプリケーションの機能を外部から呼び出す切り口を作ることで、有効活用することである。

 通常は、ラッパーないしアダプタと呼ばれる追加ソフトウェアを作成することで、レガシーアプリケーションの特定機能を外部からサービスとして利用できるようになる。いわば、レガシーアプリケーション全体を巨大なソフトウェア部品として活用するようなイメージだ。

 また、レガシーアプリケーションに切り口を作ることが困難な場合には、ダム端末をエミュレートするソフトウェアを介して機能を呼び出すこともできる。ターミナルスクレーピングと呼ばれる手法である。ターミナルスクレーピングは、効率や安定性の点で本質的に課題が多く、間に合わせ的な手法と見なすべきであるが、データ量が少なく、かつ照会処理のみの(データ整合性を気にしなくて済む)サービスにおいては有効なケースもあるだろう。

 このような手法はSOAという言葉が提唱される前から利用されているが、実際にはSOAと呼ぶべき形態だ。

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