あなたがロボットと暮らす日――ロボット界のニューフェースたちコンテンツ時代の未来予想図(4/5 ページ)

» 2005年12月06日 09時31分 公開
[早川みどり,ITmedia]

高い運動能力とデザイン美を共存させた「morph3」

 morph3は、科学技術振興機構ERATO北野共生システムプロジェクトとリーディング・エッジ・デザインが共同開発した小型ヒューマノイドロボットだ。現在、morph3の研究開発チームは千葉工業大学の未来ロボット技術研究センター(fuRo)へ移籍し、継続して研究開発を行っている。

 morph3は工業デザイナーである山中俊治氏がデザインを担当し、機能性とデザインを両立させている。ユニークなのは、通常のロボットであればカバーで隠すであろうモジュール部分が随所でむき出しになっている点だ。ロボットのモジュール部分は、人間でいえば筋肉のようなもの。その上にカバーをつけるのは、陸上選手が厚着をして競技をするようなものと考え、外装をなくしたのだ。モジュールが本来持つ運動性能を最大限に引き出す一方、むき出しのモジュールを美しく見せる工夫がされており、未来的で洗練された見た目になっている。

 その違いは、未来ロボット技術研究センターのサイトに掲載されているmorph1とmorph2を、morph3と見比べてみるとよく分かるだろう。

morph3 モジュール部分をむき出しにしつつ、デザイン性も損なわないmorph3

 身長38センチ、体重2.4キロ。ほかのロボットと比べて比較的軽量なのは、構造材にジェラルミンを多用しているため。搭載センサーは138個、CPUはVR5500(400MHz)、OSにはVxWorks、二足歩行ロボット制御エンジンとして「VR5500モジュール」などが搭載されている。

 全30自由度を持つmorph3は、関節の可動範囲が広く、高い運動性能を発揮する。今までのロボットでは見られなかった動き、例えば空手の正拳突きやバック転といった動作を軽々とこなす。まさにデザインコンセプトの「メタル・アスリート」を地で行く姿だ。

 二足歩行ロボットで課題となる転倒時の受け身と起き上がり動作も見事にこなす。体がバランスを崩したことをセンサーで察知すると、コンピュータが体に受ける衝撃を計算し、それに対応して全身を使って柔らかく衝撃を吸収するのだ。そのスピードは0.001秒刻み。

 大きなロボットに比べ、小さなロボットはバランスを崩してから地面に倒れるまでの時間が短い。そのため、受け身のための処理スピードは速くなければならない。つまり、小さい方が受け身はより高度な処理になる、というわけだ。

 morph3はその美しい姿から、2003年発売の記念切手「科学技術とアニメ・ヒーロー・ヒロインシリーズ第1集」に、アトムやH-Iロケットなどとともに登場している。実用型のロボットではないが、ロボットの研究や学習のため、活躍を続けている。

資料提供:ゼットエムピー

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