2003年度のグッドデザイン賞に選ばれたifbotは、宇宙服をイメージしたかのようなユニークなデザインで、顔の表情が愛らしく、まぶたと目が動いて細やかに感情を伝えるコミュニケーションロボットだ。
自力での移動能力を持たないこのロボット、その最大の特徴は、その対話パターンの豊富さだ。「喜ぶ」「照れる」「怒る」「泣く」「がっかりする」「はしゃぐ」「ムッとする」などの多彩な感情表現を持ち、家族の一員として皆の話し相手になり、ユーザー家族を飽きさせない。
腕は握手などのコミュニケーションをするためのもの。腕の付け根は挟み込みの起こらない形状となっている。安全性を高めたデザインだ。
一般ユーザー向けとは別に、「よりそいifbot」という高齢者向けの商品も存在する。価格は通常のifbotの49万5000円に比べると高価な60万4800円だが、レンタルやリースも行っている。
ハードウェア部分はifbotと同じだが、内蔵する会話ソフトが高機能化しており、クイズやなぞなぞ、記憶ゲーム、計算、歌、昔のニュースなど高齢者の脳を活性化する対話パターンを持つ。メディカルチェックや献立アドバイス、カロリー計算も可能だ。
これは、特に一人暮らしの高齢者が、会話のない生活で認知症などを起こす危険性に着目したためで、豊富なコミュニケーション能力を使って、脳を刺激するよう会話内容が工夫されている。基本的には自分から話し掛けず、ユーザーから話し掛けられるのを待つが、これも高齢者を想定した設定だ。
ゆっくり丁寧に聞き取りやすい声で話すことも特徴の一つだ。「○○○してください」のような命令はせず、常にユーザーに気配りを忘れない。もちろん、同じ質問を何度しても答えてくれる。高齢者がユーザーであることで、細やかな配慮がなされているのだ。
「コンテンツ時代の未来予想図」では、多くのロボットを取り上げてきた。いずれも人間の生活空間で共存するには、まだまだ解決しなければならない問題も多い。しかし、こうしたロボット開発は、まったく新しいニーズを創出するものであるといえる。開発側から見てもメリットが大きいこの分野の研究がいっそう発展することを願いたい。
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