IT予算は上昇し、アウトソーシングも活発化するが、セキュリティ意識は欧米で差も

アメリカで行われた調査「Harvey Nash USA CIO Market Survey」によると、米国企業のIT予算は上昇傾向にあり、CIOの役割はより戦略的になってきている。(IDG)

» 2005年12月22日 08時00分 公開
[IDG Japan]
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 Harvey Nash GroupおよびPricewaterhouseCoopersが実施した、2005年/2006年度「Harvey Nash USA CIO Market Survey」の結果によると、米国企業のIT予算は上昇する気配にあるという。

 「今回の調査データはIT予算が増加していることを裏付けている」と話すのは、Harvey Nash社長のボブ・ミアノ氏。同社は国際的な人材派遣会社で、人的資源管理/アウトソーシング/コンサルティングサービスを提供している。「IT業界における雇用も拡大している。予算が増えれば、採用も増えるというわけだ」(ミアノ氏)

 同調査では、質問に答えたCIOおよびIT役員のうち4分の1がIT予算を10〜20%増加させると回答し、13%は20%以上の増加を見込んでいるとした。

 また、「IT支出は不況により頭打ちとなっていたが、ここへ来て、作業効率向上に対する累積的な需要が表面化しつつある」と、Nashの調査は結論づけている。

 同調査ではこれに加え、多くのCIOが、企業は米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)などの規制に準拠するため予算を割き、技術に投資する考えを再び持ち始めていると指摘した。

 もっとも、CIOがみずからの職務に満足しているという結果が出るとは、ミアノ氏も予想していなかったという。

 「CIOの約70%が現在の仕事を楽しみ、満足していて、転職活動はしていないと回答した。ただ、こうした結果に水を差すように、かなりの割合のCIOが、合併や買収などのせいで3年以内にほかの組織で働くようになる可能性が高いと考えていることも分かった」(ミアノ氏)

 ミアノ氏は、米国企業のCIOにとって最大の懸念事項はセキュリティだと述べている。これとは対照的に、イギリスのCIOは、セキュリティを今後も注意を払うべき問題の第3位にランク付けしている。

 「米国でセキュリティが重要視されているのは、一部には情報プライバシーに関する新たな規制が制定されたことに、一部にはセキュリティの脅威に対する認識が広まってきたことによる。国際市場では、セキュリティの脅威がすでにある程度把握されていたのだが」と、ミアノ氏は話した。

 アウトソーシングに関しては、調査対象となったすべてのCIOが採用を検討していると回答したという。「自社のアプリケーション開発者を解雇し、完全なアウトソーシング化を進めるというのではなく、開発の一手段としてこれを利用しようと考えているようだ。大半のCIOは、組織にはアウトソーシングを導入するのに適した場合と場所があると認識している。アウトソーシングは今後も堅調だろう」(ミアノ氏)

 このほか調査で明らかになったのは、CIOの役割がより戦略的になっているということだ。「かつては経営者がCIOに対し、『わたしがこれこれこういった展望や情報を得られるよう、IT化を進めてくれないか』と持ちかけるのが常だった。だが今日のCIOは、自分たちはより積極的な役目を担い、ユーザーコミュニティにも意欲的に関与するべきだと感じている。経営者に、『CIOはビジネス上のニーズを理解しており、さまざまなことを実現できる』ことを知らせ、『どのようにテクノロジーを活用し、ビジネスを進めていくかともに検討しよう』と提案する必要があると考えているのだ」(ミアノ氏)

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