「60歳定年退職制度」で露呈する企業の諸問題を検証する構造改革としての2007年問題(1/4 ページ)

2007年問題はいわゆる団塊世代が60歳定年退職を迎えることによって、社会にどのようなインパクトがあるのか、という点に着目した議論。本質はどこにあるのかを考える。

» 2006年01月01日 02時36分 公開
[ロビンソン,メディアセレクト]

「ITセレクト2.0」 2006年1月号 から転載

 2007年問題は、いわゆる団塊世代が60歳定年退職を迎えることによって、社会にどのようなインパクトがあるのか、という点に着目した議論といえる。

 団塊の世代という言葉は、作家の堺屋太一氏が著した小説名に由来し、1947年(昭和22年)から49年(昭和24年)に生まれた世代。総務省統計局の2004年10月1日時点の推計人口によると、47年生まれの推計人口は223・1万人、48年生まれが234・1万人、49年生まれは235・4万人と推計されている。また、50年生まれが214・9万人、51年生まれも199・7万人おり、51年までを団塊世代とする場合もあるようだ。

 2004年生まれが110・7万人であるから、団塊世代の年齢別人口は約2倍。200万人近い年齢別人口では、72年から74年生まれの第二次ベビーブーマー世代がいるが、その後は年々減少しており、ここ10年は120万人を連続して下回っている状況にある。

日本の人口ピラミッド

 頭でっかちな形の人口構成、逆ピラミッド構造は今後40年間続くだろう。毎年、100万人程度生まれ続けるとして、この構造が釣鐘型にもどる頃には、日本の人口は4千万人ほど減少し、7千万人程度になると考えられる。

 年金制度がその根底から揺らぐのも当然のことだ。国民皆年金体制が実現した1958年(昭和36年)当時は、広い裾野を持つ人口ピラミッド構成であり、数少ない高齢者の年金を、数多くの就労者の小さな負担で支えることで成立する仕組みだったからだ。ただ、ここでは年金の制度問題とは切り離して考えることとする。

 本特集では、団塊世代が一斉退職を迎える2007年に端を発し、浮き彫りになってきた企業の諸懸案について、専門的な調査分析を実施しているシンクタンク・団体を取材し、この問題の本質と、残された時間で企業がとるべき対応策について、専門家に話を聞く。

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