次世代の基幹システム構築を成功させるキーワードは?構造改革としての2007年問題(2/4 ページ)

» 2006年01月18日 08時30分 公開
[漆原茂,ITmedia]

 これまでは上流工程の業務設計をコンサルティング企業へ任せRFPを書いてもらい、下流工程であるシステム構築と運用をベンダーへ依頼してきた。しかし現実的には、業務要件が発散し非常にあいまいなRFPも少なくない。また開発途中でシステム要件が膨らみ、予算や納期が超過し、やむなく機能を削減してしまい、劣悪な品質のまま稼動を続けるシステムも多い。こうしたシステムの多くは、ビジネスと実働システムがずれてしまっているのである。

 上流と下流を別々に発注しただけでは、ガバナンス確立にはならない。ビジネスとシステムのギャップは、それぞれを担当する会社を別にしただけでは埋まらないのだ。かといって、全部をアウトソースして一社のベンダーに丸々任せるのは、もっとリスクが高い場合がある。全部を任されたベンダーが自社の売り上げや利益を優先し始めると、発注側と利害が対立してしまう。せっかく業務分析をしても最後はベンダー側が望む決まったパッケージに強引に落とし込まれ、現場の要求が無視されるのだ。

 コンサルティング企業もベンダー企業も、多くは人月モデルやゼネコンモデルで事業を運営している。従って、受注側が自社の売り上げと利益を追求する限り、発注側とは必然的に利害が対立する構造になっている。このような企業体に任せると、よほどしっかり管理をしない限り、最終的なシステムは望んだものとは違うものになってしまいビジネスがうまく回らない。

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