次世代の基幹システム構築を成功させるキーワードは?構造改革としての2007年問題(3/4 ページ)

» 2006年01月18日 08時30分 公開
[漆原茂,ITmedia]

成功する次世代基幹システムとは?

 では、どうすればいいのか。成功する次世代の基幹システムには、発注側にしっかりとプロジェクトをリードする体制や人材が整っていることが前提として求められる。コンサルタントやベンダーに惑わされないレベルにまで、ユーザー側の発注力を上げることこそが問題解決の近道であろう。

 PMOの形骸化が不安視されているが、むしろ今必要なのは、発注側の現場でプロジェクト施工管理を行い、成功に導いていける実働部隊なのではなかろうか。いくら体制としてPMOの箱を作ってEVAのような管理手法を取り入れても、現場に部隊とそのリーダーがいなければプロジェクトは回らない。ビジネス要求からシステムへと落とし込む「肝」の部分の設計と、現場の強いリーダシップが合わさって、初めて次世代基幹システムに息を吹き込むことができる。

企業IT部門こそがこれからの主役

 ビジネス効果が強く求められる次世代基幹システムでは、発注側のメンバーこそが主役である。まさに「企業IT部門の復権」、アウトソースして弱体化してしまった部隊を再度強化すべき時だ。ビジネスと現場の業務改革へどれだけ貢献できるか、腕の見せ所であろう。そのために企業IT部門が強化しておくべき重要な点を以下3つ挙げる。

  • 1.業務要件定義の力

 ビジネスと業務を理解した上で、全体最適なシステムを設計できる力、これこそ発注側がもたねばならない重要なスキルである。業務ノウハウだけではダメ、技術だけでもダメである。ベンダーやコンサルタント側に依存せず、自ら主体的に決定できるだけのパワーを身に付けたい。業務の可視化などの手法、経営を説得する方法論など、役に立つツールもそろってきたので積極的に活用したい。

 ポイントは業務の現場と経営陣の説得である。業務側の要件を把握しつつ、ビジネス上の優先順位付けを行って全体最適なシステム像を描く必要がある。業務現場はすべての機能を最優先で欲してくるため、経営陣を巻き込んだ調整が必要だ。この合意を取るステップが肝心で、関連部署が納得した上でプロジェクトが前向きに進むために不可欠な要素である。

 われわれウルシステムズが、あるお客様の発注をお手伝いしたことがある。業務部隊からの要件をそのまま反映したRFPをとあるコンサルティング企業が作っていたが、見直ししたところ、ほぼ半額以下のコストで構築することができた。従来までのように、要件定義が甘いままでは常に過大なシステム投資となってしまう。これからは、外部の力を借りつつも、企業IT部門が主体的に物事を決めていくことが肝心だ。

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