次世代の基幹システム構築を成功させるキーワードは?構造改革としての2007年問題(4/4 ページ)

» 2006年01月18日 08時30分 公開
[漆原茂,ITmedia]
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  • 2.プロジェクトリーダーシップ力

 きれいな設計だけができてもシステムは動かない。コンサルティング企業やベンダーを仕切って仕上げる力が必要だ。優先順位とリスクを見た上で、都度現場の状況を見て最善の判断を下していく……そのためには、管理手法だけでは不十分で、それを使いこなす人間力が一層求められることになる。

 まずはプロジェクトを遂行するための自社内の足並みをそろえることだ。開発ベンダーごとに別々のやり方をしていたのでは、発注側がもたない。これには標準的なプロジェクト遂行のための方法論やシステムアーキテクチャを確立させるのが効果的だ。弊社がお手伝いさせていただいた何社かのお客様では、自社標準の開発方法やフレームワークを立ち上げガバナンスを強化していった。プロジェクトごとにバラバラだった設計開発や品質基準を統一することでアウトソーサの開発コストを3割以上削減できた例もある。

 実際のプロジェクトの現場でリーダシップを発揮するには、ある程度の場数と経験が必要だ。方法論を本で理解しても使いこなすのは大変だ。次世代システムを睨み、小さいプロジェクトから順に若手に経験を積ませていくことも必要だろう。

  • 3.ノウハウ蓄積と人材育成

 企業が継続的にシステム革新をなしとげていくためには、企業内にノウハウを貯め人材を育成していく仕組みが欲しい。特定個人に依存していた業務やシステムの知識を形式知化し企業の資産として蓄えていくべきである。2007年問題も結局は人に伝承できてない部分がネックになっている。自社ナレッジを蓄積し、共有していくのが理想的だ。弊社例だが、さまざまなお客様のプロジェクトをこなしていく方法論や技術ノウハウ、業務ナレッジなどを社内に蓄積し体系化して、初めて人材育成ができるようになった。個人ワザをどう伝承していくか、各企業なりの工夫が必要だろう。

 実はヒトの問題が常に本質的で根が深い。企業IT部門のキャリアパス制度などを戦略的に見直し、必要な人材が正しく評価される人事考課を行わないとヒトは育たない。優秀な人材が集まり、ビジネスをシステムで支え、結果を評価し反映することでPDCAサイクルを回す……この仕組みをもっている企業は強い。

 これまで外部のコンサルティング企業やベンダーに頼っていた重要な部分を取り戻し、発注側が主体的にプロジェクトにかかわっていこう。固い決意と前向きな姿勢こそが次世代基幹システムに必要な魂だ。今こそ企業IT部門が発注力を高め、正しくベンダーとつきあいビジネスの主役に躍り出るべき時である。

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