今なおオープンソースに照準を定めるMicrosoftの研究施設(1/2 ページ)

今日のMicrosoftを脅かす最大の存在はGoogleであるように見える。しかし、Microsoftは今でも、かつて同社に対する最大の脅威と言われたLinuxおよびオープンソースに照準を定めている。

» 2006年02月02日 08時52分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 今日のMicrosoftを脅かす最大の存在はGoogleであるように見えるが、これを安易に信じてはならない。Microsoftは今でも、かつて同社に対する最大の脅威と言われたLinuxおよびオープンソースに照準を定めているのだ。

 ワシントン州レドモンドにある同社の「Linux and Open Source Lab」は、既存の顧客や将来顧客になる可能性のあるユーザーに向け、次の3点に関する情報を発信している。現行環境におけるWindowsとLinuxの動作比較検証結果、両プラットフォームのセキュリティパッチ適用プロセスの有効性、Microsoft製品が有するすぐれたオープンソースコード統合/サポート機能の3点である。

 できるかぎり多くのユーザーがWindowsを最新版へアップグレードすることを宿願としているにもかかわらず、MicrosoftがWindowsを古いハードウェア上でテストしているのは、奇異なことのように思える。だが、同社のプラットフォーム技術戦略担当ディレクターおよび同研究所マネージャーを兼任するビル・ヒルフ氏によると、そうした検証を行う目的の1つは、「Linuxはいかなるハードウェア上でも稼働するという都市伝説を葬る」のに役立つデータを得ることだという。テストでは、初期状態のWindowsをレガシーハードウェアにインストールして稼働させたが、パフォーマンスはLinuxと大差ないという結果が出ている。

 Linuxは古いPCでも稼働するがWindowsは違うという思いこみが広がっていると、ヒルフ氏は言う。そこでMicrosoftは、Red Hatの「Red Hat Enterprise Linux」および「Fedora Core 3」、Novellの「SUSE Pro 9.2」、Mandrakeの「Mandrake 10」、Linspireの「Linspire 4.5」、Xandrosの「Xandros Desktop OS Version 3」、Slackware Linuxの「Slackware 10.1」、Knoppixの「Knoppix 3.7」、さらに自社のWindows XPおよびWindows Server 2003を初期状態のまま古いハードウェアにインストールし、稼働状況を観察するというテストを行ったのである。

 ヒルフ氏は、最低限のサービスおよびソフトウェアを残すよう修正を施して、あらゆる種類のハードウェアデバイス上で稼働させられるようにできるLinuxの特徴から、すべてのLinuxディストリビューションはいかなるハードウェアデバイスでも機能させられるという定説が生まれたと指摘している。「しかし、平均的なユーザーは技術の専門家でもLinuxの開発者でもなく、そうしたことを可能にするスキルは持っていない。さらに重要なのは、これを実現するためには、企業がオペレーティングシステムを改造する必要があるということだ。だからこそ、Red HatやNovell SUSEといった企業が存在しているのである」(ヒルフ氏)

 Microsoftは今回の検証で、現行の商用Linuxディストリビューションの大半が、Intelの「Pentium」プロセッサおよび64MバイトのRAMを実装し、2Gバイト以上のHDD領域を持つシステムに問題なくインストールできることを明らかにした。また、Linuxシステムでオフィス生産性製品を動作させるための最低要件は、システムが各種のPentium ?プロセッサおよび64Mバイト以上のRAMを搭載していることで、音声および映像を再生するには、Pentium ?(400MHz)以上のプロセッサが必要だったという。

 ヒルフ氏によれば、「この要件は、1998年〜1999年に販売された一般的なPCのスペックに相当する」という。したがって、1997年に製造された平均的なPCなどの古いシステムにLinuxをインストールした場合は、一般ユーザーが求めるデスクトップパフォーマンスが得られないと、ヒルフ氏は話している。

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