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» 2006年02月14日 23時49分 公開

トレンドマイクロが目指すのは「危険を事前に予知する仕組み」

トレンドマイクロ日本代表の大三川彰彦氏によると、2006年は「ネットワークと統合されたセキュリティの追求」「パートナーとのより深い協業」などを柱に事業を展開していくという。

[高橋睦美,ITmedia]

 トレンドマイクロは2月10日に開催した戦略説明会において、2006年、同社が目指すいくつかの方向性を示した。

 同社の代表取締役社長兼CEO、エバ・チェン氏は、IBMが行った調査を引き合いに出し、「不正プログラムに対する恐れのために、エンドユーザーはオンラインサービスの利用を控えるようになっている。ワームなどの大規模感染が起こらなくとも、コンシューマーのクライムウェアに対する不安は高まっており、ネットワークは静かに壊滅状態に向かっている」と述べた。

 これに対しトレンドマイクロでは、コアテクノロジーの強化に努めるとともに、実際にユーザーにサービスを提供するパートナーの支援策を通じて「顧客にさらなる安心を提供していきたい」(チェン氏)という。

危険を事前に「予知」

 トレンドマイクロ日本代表の大三川彰彦氏はITmediaの取材に対し、具体的な方策として、「ネットワークと統合されたセキュリティの追求」「パートナーとのより深い協業」などを柱に、2006年の事業を展開していくと述べた。

 大三川氏は現在の企業ユーザーが抱える課題は「PCに入り込む前のネットワークのところで(脅威を)どう防ぐかということ」だと指摘する。

 同社は既に、ネットワークと連携したセキュリティ対策を実現するため、Cisco Systemtと提携。「ウイルスバスター コーポレートエディション」でCisco Network Admission Control(NAC)をサポートし、いわゆる検疫ネットワークの仕組みを実現するほか、TrendLabとCisco Incident Control System(ICS)の連携により、ウイルス/ワームの大規模まん延を防ぐためのポリシーをCiscoのネットワーク機器に配信するという枠組みを提供している。

 今後は、ネットワークのフローをレイヤ7の深いレベルまで監視し、モニタリングする仕組みを提供することで「何事かが起こる前に警告を発する仕組みを提供していきたい」(大三川氏)。その手段の1つが、現在提供されているEPS(Enterprise Protection Strategy)の次期バージョンだという。

大三川氏 定義ファイルが原因で多数のPCに障害が発生した事件を機に「社内では、どんな些細なトラブルでも原因を追及し、新たなプロセスに組み入れるというクセが付いた」と述べた大三川氏

 EPSは、企業ネットワークをワーム/ウイルスの大規模まん延から防ぐことを目的とした仕組みだ。「定義ファイルに基づく方式では、ワームなどが発生してから定義ファイルを作成し、顧客に配布し、それがユーザーの手元に届くまでにどうしても時間がかかる。EPSによって、ワームの特徴を元に警告と対策を配布し、一気にまん延するのを抑える仕組みを提供してきた」(大三川氏)

 「次は、事前にいろいろと予知し、警告できるような仕組みを考えている。アプリケーションレベルまでをウォッチして、コトが起こる前から情報を提供していく。その際、モニタリングした情報だけでなく、トレンドマイクロのさまざまなナレッジを提供する仕組みの開発を進めている」(同氏)

 こうした仕組みは、パートナーとの協業を通じて顧客に提供していくという。「専業ベンダーとしてノウハウやナレッジを提供することで、パートナーそれぞれの強みを生かし、その先にいる顧客にカスタマイズされたサービスとして提供していけるようにする」(同氏)

 現在はネットワーク上の脅威のトレンドが変わり、明確に金銭を狙い、個別の企業やサービスを狙った手口が増えていると言われる。そこで、「汎用的な切り口というよりも、個々のサービスに合わせた形のサービスも提供できるようにしていく。ネットワークを常に監視し、異常な事態を事前に察知して、専門家と相談しながら対応できる体制を提供していきたい」と大三川氏は述べた。

 並行して、コンプライアンス準拠やシステムプロセスマネジメントという観点から、セキュリティ各製品をITILの中に位置付け、継続的な改善に向けたサイクルを回し続けていていくためのツールや専門メニューにも取り組んでいくという。

 大三川氏は「生産性向上のためにIT活用は必須。しかし、ITを活用することによって危険性も生じる」と述べた上で、「いかにして、何事かが起きる前に知らせられるようにするかを追求する。同時に、セキュリティに絶対ということはありえない以上、何か起こったときにその部分を迅速に切り離し、修復する製品群も提供していく」とした。

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