Lotus Notes/Domino顧客の取り込みに再攻勢、「Notes Compete」チームを結成(1/2 ページ)

移行ツール群の新規投入や更新、移行ガイダンスの提供により、今後さらに多くのNotes/Domino顧客がExchangeとSharePointに乗り換えることになるかもしれない。

» 2006年02月15日 00時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 MicrosoftはIBMの電子メール/コラボレーションプラットフォームLotus Notes/Dominoの顧客を自社のExchangeとWindows SharePoint Services(WSS)に乗り換えさせるための機は熟したとの考えから、既存の移行ツール群をアップグレードしており、さらには、Notesアプリケーションを分析し、データをWSSに移行するための新ツール2種を提供する方針だ。Notes/Dominoの旧バージョンのサポートを打ち切り、設計が根本から異なるWorkplace製品ラインを推奨するというIBMの最近の動向を見据え、Microsoftとパートナー企業は顧客の間でMicrosoftプラットフォームへの移行支援に対する要望が再び高まりつつあると捉えている。

今が絶好のタイミング?

 MicrosoftとIBMは何年も前から、企業向けの電子メール/コラボレーションソフトウェア市場で争っている。MicrosoftはExchangeサーバとOutlookデスクトップ/Webクライアントで、LotusのDominoサーバ、Notesデスクトップクライアント、およびDomino Web Accessに対抗している。Exchangeには以前から、Lotus顧客によるMicrosoftプラットフォームへの乗り換えを支援するツールが含まれており、Microsoftは実際、ユーザーの誘い込みである程度の成功を収めている。その勝因としては、Lotusよりも優れていると評判の電子メール機能や、Microsoftプラットフォームのそのほかの要素(Active DirectoryやOfficeなど)との統合が挙げられる。だが、その後、移行の勢いは鈍っていった。その最大の要因は、Microsoftがコラボレーションに関して、Notesプラットフォームに匹敵する同等のソリューションを何ら提供していないことにあった。

 だが、この5年ほどの間に、電子メールサーバよりも優れたコラボレーションアーキテクチャとして、リレーショナルデータベースを基盤とするWebベースポータルが登場するようになってきた。ポータルソリューションは電子メールサーバよりも、開発やそのほかのビジネスアプリケーション/データとの統合が容易だ。Microsoftもポータル構築製品SharePointの開発に着手し、現在はWSS 2003とSharePoint Portal Server(SPS)2003(WSSをベースとしている)を提供するに至っている。またMicrosoftはExchangeのパブリックフォルダを共有アプリケーションデータ向けのレポジトリとして強調するのをやめ、Exchange上でのアプリケーション開発を奨励しないようになった。それと同時にMicrosoftは、SharePointベースのコラボレーションソリューションの構築やカスタマイズを容易にすべく、FrontPageやVisual Studio開発環境などのツールの強化に取り組んできた。

 一方、IBMでは、Lotus部門がNotesクライアントとDominoサーバの改良を続け、2005年8月に最新版のR7をリリースする傍ら、別の部門がWeb中心型の同様のコラボレーション製品の開発に着手し、現在、全く新しいアーキテクチャの製品ラインとして、Workplace Collaboration ServicesとWorkplace Managed Clientを含む製品ファミリーIBM Workplaceを売り込んでいる。IBMによれば、IBM WorkplaceにはいずれNotesとDominoが包含される見通しという。

 Workplaceには、R7と共存するための機能や、コラボレーションアプリケーション/データをWorkplaceに移行させるためのツールが含まれている。だが、Workplaceへの移行を無理強いされる可能性を懸念し、現在、多くのNotes顧客がMicrosoftへの移行を再検討するようになっている。特に、今ではMicrosoftも競争力のあるコラボレーションプラットフォームを提供しているとなれば、なおさらだ。Microsoftによれば、この半年間に既に何百ものLotus Notes/Domino顧客がMicrosoftのコラボレーションプラットフォームへの移行に着手している。また、パートナー企業のAvanadeによれば、Lotus Notes/DominoからMicrosoftのコラボレーションプラットフォームへ移行するための同社サービスの需要はこの半年間に世界で倍以上に拡大したという。MicrosoftはNotes顧客の多くが依然として、IBMがサポートを打ち切ったR5などの古いバージョンを使っていると考えている。こうした旧バージョンはおそらく、Workplaceに移行する前にまずR7にアップグレードしておかなければならないはずだ。

 Microsoftはこの機を捉え、Windows、Exchange、およびInformation Workerの各グループからエンジニアリングとマーケティングの担当スタッフを集め、「Notes Compete」チームを結成しており、2006年はNotes顧客に狙いを定めた販売/マーケティングキャンペーンを世界各地で展開する計画だ。ここで特に重要なのは、Microsoftがついに、電子メールとスケジュールデータだけでなく、Notesアプリケーションを移行するためのツール群とガイダンス(手引き)の提供に乗り出した点だ。

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