阪神大震災で痛感 「バイタル・レコード管理」の重要性Interview(2/2 ページ)

» 2006年02月21日 08時15分 公開
[聞き手:丸山隆平,ITmedia]
前のページへ 1|2       

2004年9月から全社プロジェクトで文書を棚卸し、電子化

ITmedia 具体的にはどのような仕組みを採用されていますか?

新保 バイタル・レコードを特定し、その原本は紙であれ、電子であれ減失を予防します。業務での活用という点では、バイタル・レコードのコンテンツの参照を容易にする仕組みとして、文書を電子化します。電子化するのは、検索効率の向上、アクセス権の設定による機密性/セキュリティの向上、記録の所在・期限の管理、改ざん防止といったメリットがあるためです。これにより、業務での活用も容易になります。

 当社では2004年9月から総務部長をリーダーに文書の電子化に向けた全社プロジェクトを開始しました。専任のプロジェクトマネジャーを置いて、総務部、営業部門のほか、開発、販売などすべての部門で取り組んできました。手順としては、社員1万5000名の保有する社内文書のたな卸しを行い、頻繁に活用する文書はスキャナーで電子化し、原本は免震倉庫に保管しました。そして、この仕組みを維持・管理するために本社内に「レコードマネジメントセンター」を開設し、日々追加されるバイタル・レコードの原本管理や電子化、組織変更などに対応しています。電子化した書類は1300万枚に上っています。

図1 富士ゼロックスが提唱するVRM

営業はテレワークで紙を廃止

ITmedia 営業サポートの面からVRMはどう役立ちましたか?

新保 テレワークの開始と同時に、オフィスから書類を保管するスペースをなくしました。その代わりに情報共有を図るため、イントラネット上にキャビネットを作成しました。従来、営業マンは、客先から事務所にいったん帰って契約書を確認する必要があったのですが、都内、数カ所のスポットオフィスから、イントラネットを通じて必要な書類を取り出せます。顧客対応は格段に進歩しました。今後、コンビニに置いたネットワークプリンタも活用する計画です。

ITmedia 今後の事業化についてお聞かせください。

新保 今年1月だけで当社のレコードマネジメントセンターへ37社の顧客が見学に来訪しました。日本版SOX法施行なども予定されており、関心は非常に高いものがあります。デジタル複合機を使い、スキャン画像と文書属性の確認、修正を簡単な操作で実現する電子文書登録システムも用意するなど仕組みも整えました。既に何件かの受注をいただいています。今春からサービス事業を本格展開する予定です。



前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ