矢継ぎ早の買収の意図は? 単なるストレージではなく「システム」に焦点を当てるHPHP StorageWorks.06 Report(2/2 ページ)

» 2006年02月22日 13時45分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 データベースアーカイビングは、前年比79%という高い成長率を誇り、48%の企業が導入を検討しているホットな市場です。アーカイビングには、電子メールを一定期間保存するという法規制への対応もありますが、データベースの場合はパフォーマンスの改善につながり、顧客の悩みを直接解決でき、例えば、SAPのCRMを稼動させるために、高価なディスクを買い続ける必要はなくなります。

 日本市場でもHP-UXサーバとOracleデータベースの組み合わせには実績があり、優れたコンサルティングサービスも提供されています。われわれが単にストレージだけでなく、「ソリューション」や「システム」に焦点を当てていることの良い例だと思います。

グリッドでも他社に先行

ITmedia ストレージ・グリッドについてはどうでしょうか。

シュルツ この分野でもわれわれは、他社に先駆けています。EMC、IBM、NetAppsらは目立った動きをしていません。HPでは長期的なビジョンとして取り組み、すでに一部の製品は出荷しています。

 HPは、外部環境の変化に適応できる企業として「Adaptive Enterprise」を定義し、それを支えるITインフラストラクチャーを提供していこうとしています。私なりに翻訳すれば、「インフラをどうダイナミックに構築したり、再構築できるか」「24時間×7日、データサービスを可用性を維持できるか」「いかに標準技術を活用してコストを下げることができるか」です。狙いは、「簡素化」「モジュラー化」、そして「コスト削減」などです。

 ストレージ・グリッドには幾つかのデザイン原則があります。やはり「簡素化」であり、「アジリティ」や「サービス指向」ということです。

ITmedia サービス指向ですか?

シュルツ SOAと同じ考え方です。現在のストレージは、バックアップやアーカイビングといったサービスが装置に結び付けられています。これをコンピュート・グリッドと同様、必要に応じてソフトウェアをロードしてサービスを提供しようという考え方です。個々のノードはストレージと処理能力を併せ持つ「スマートセル」として完結しており、これらを(レゴのように)結合させることで、ファイルサービス、ブロックサービス、アーカイビング、インデックスサーチといった機能を必要に応じてダイナミックに提供する単一のシステムイメージをつくりあげることができます。

 HPでは、業界標準のハードウェアとソフトウェアでこれを実現しようと考えており、すでに出荷が始まっているアーカイブのためのストレージ・グリッド、「StorageWorks RISS(Reference Information Storage System)」やNASのストレージ・グリッドである「StorageWorks Enterprise File Services Clustered Gateway」は、ProLiantサーバをベースとしています。

 ProLiantは、14秒ごとに1台が生産されているハイボリューム製品です。このボリュームを生かし、ソフトウェアやサービスのポートフォリオを組み合わせることで、ストレージ・グリッド分野でも競合他社と大きく差別化することができるでしょう。

 ロードマップでは、例えば、サーバとストレージのプロビジョニングを単一のツールから行えるようにする計画もあります。

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