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» 2006年02月23日 07時00分 公開

Vista新グラフィックスエンジンはAdobeにどこまで対抗できるか?(3/3 ページ)

[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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マルチプラットフォームバージョンはFlashと競合

 Microsoftは2005年9月に開催したProfessional Developers Conference(PDC)において、MacやMicrosoftのWindows Mobileプラットフォームなどのプラットフォーム向けにWPFのサブセットを提供する意向を明らかにした。だが、このWPF/Everywhere(WPF/E)と呼ばれるサブセットに関する詳細はまだほとんど明らかになっていない。分かっているのは、WPF/Eはブラウザプラグインとして実装され、JavaScriptを介してのみプログラミングできるという点だけだ(Microsoftは自社のJavaScript実装をJScriptと呼んでいるが、両者には互換性がある)。

 WPF/EはXAMLのサブセットをサポートするとみられるが、何がサポートされ、何が省略されるかについて、Microsoftはまだ詳細を発表していない。だが、Microsoftの目標の1つが、Windows Mobileなどのデバイスプラットフォームのサポートであるからには、WPF/EにXAMLの3D機能が含まれることにはならないだろう。むしろ、Microsoftは現在Flashを使ってグラフィックスが豊富なWebサイトを構築しているWeb開発者向けにWPF/Eをアピールしたいと考えているため、WPF/Eは現在Flashでサポートされている2Dグラフィックスやサウンド、アニメーションなどの機能にフォーカスすることになるだろう。

XPSの狙いは文書共有

 WPFにはアプリケーションの構築のほかに、AdobeのPDF技術の代替選択肢となるMicrosoftのXML Paper Specification(XPS)の基盤としての役割がある。XPSはページのレイアウトを記述するための仕様で、テキストやグラフィックスの配置を記述するための基盤としてXAMLを使用する。だがXPSは静的な文書を正確にレンダリングするよう設計されているため、オーディオ、ビデオ、アニメーションなど、XAMLの高度な機能の多くはサポートされない。

 現行版と将来版のOS(Windows Vista、Windows XP、およびWindows Server 2003)のサポートに加えて、MicrosoftはWindows 2000、Mac OS X、LinuxなどのOS向けにXPSリーダーを提供する意向を明らかにしている。

 XPSは複雑な文書を正確に表示する能力についてはPDFに匹敵する技術となりそうだが、プログラマビリティの点ではPDFには及びそうにない。PDFは紙ベースのフォームをそのまま再現しつつ、データを電子的にキャプチャしたオンラインフォームを作成できるプログラマビリティで高い人気を誇っている。Microsoftも、InfoPathやVisual Studio Tools for Officeなど、Officeを中心に構築された製品も含め、電子フォームに照準した技術をこれまでに幾つか提供している。

WPFの強みと弱みが選択を困難に

 WPFとそのバリエーションによって提供される広範な技術や機能性は、開発者にアピールする上でのMicrosoftの強みと弱みの両方を同時に表している。その強みとは、デスクトップアプリケーションからインタラクティブなWebサイト、文書共有に至る、顧客の多様なシナリオに同時に対処できる点だ。一方、弱みとなるのは、開発者に与えられる選択肢が互いに重複する複雑なものになりがちである点だ。

 使用するMicrosoft技術を制限することで開発者自らが状況の簡素化を目指すのであれば、幾つか重要なポイントを確認しておく必要がある。

  • 2006年遅くにWindows VistaとWPFがリリースされるまで待つ余裕があるか、それともWindows Formなどの既存の技術で先に開発に着手すべきか?
  • 自分の開発するアプリケーションが主に情報収集のためのフォームである場合、WPFをあきらめてInfoPathやVisual Studio Tools for OfficeなどのOffice製品を使うべきかどうか?
  • WPFを使う場合、「より多くの機能にアクセスできるが、PCにしかインストールできないデスクトップアプリケーション」を構築すべきか、それとも「インストールなしでブラウザで実行できるが、制限事項の多いXBAアプリケーション」を構築すべきか?

 Microsoftにとってリスクとなるのは、開発者がこうした質問に対する答えを見つけられず、サーバベースのWebアプリケーションの構築にHTMLやAJAXを使うことでこの問題自体を回避しようとする可能性があることだ。

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