イントラブログはイントラネット2.0へと続くコラボレーションプラットフォームの今(3/3 ページ)

» 2006年02月28日 13時19分 公開
[小川 浩,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

イントラネット2.0への導線

 先述のイントラネット2.0とは、経営側からの情報発信や、社員からの情報発信をほぼリアルタイムに反映し、知りたい人や知らせたい人に対して適切な情報が適切なタイミングでデリバリーされる、ダイナミックかつライブなイントラネットである。

 最近流行のWeb 2.0というキーワードは、HTML文書のハイパーリンクであるWebに、XMLの普及による質的変化と、ユーザー数やデータ量の増大という量的変化が起きていることと、それによって起きている現象を意味しているのだが、この余波をイントラネットも受けざるを得ない。

 Web 2.0では、ありとあらゆる人がブログやSNSなどの簡易ツールを使ってネット上に、自分の意見や情報を気軽に発信することができる。イントラネット2.0においても、イントラブログの普及によって同様の現象が起きてくる。この結果、

  1. 社内で知識を持っている人や組織が、イントラネット上に簡単にその情報を投入できる
  2. その情報をメタデータ化(Feed化)できる

ということになる。

 さらに、グループウェアなどの既存システムの情報のFeed化が進み、既存のイントラネット上のシステムとイントラブログ間で、データの互換が実現するようになると思われる。

 そもそもブログを支える基本的なフォーマットはXHTMLやRSSといった、オープンでありながら応用性や検索性、即時性に優れたものであり、それはインターネットにおいて数年前から多くの識者が論じている理想的なネットワーク、セマンティックWebの構成要素と同質だ。

 イントラブログの真の役割は、ブログを社員に書かせるということだけでなく、社内ポータルのブログフォーマット化やRSSというメタデータの常態化により、情報共有をより低コストかつリアルタイムに行うことができるシステム、すなわちイントラネット2.0の実現を促進することにある。

 社内でFeedを発信するシステムが存在し、それが一般的になれば、イントラネットのステークホルダーであるグループウェアやEIP(エンタープライズ・インフォメーション・ポータル)などの「先住者」も、Feedの発信や収集(=RSSリーダーなど)機能を備えてくるはずである。実際、サイボウズ・ガルーンにはすでにRSSリーダー機能があるし、マイクロソフトのOfficeの次期バージョン「Office 12」ではデータ連携用として拡張RSS(SSE)が採用される予定である。

 また、社内にFeed発信するツールが増えてくることによって、社内ポータルの在り方も大きく変質する。RSSリーダー機能を取り込んだポータルによって、イントラブログ、グループウェアなどの情報の購読が簡便になると同時に、社外のインターネット上にあるブログやさまざまなWebサイトの更新情報も同等に取り込めるようになる。

社内の情報系ツールの連携

 インターネットを大海に例えるならば、これまでのイントラネットは湖のように孤立した存在であった。数年前にWeb型グループウェアやEIPのようなインターネット技術を取り入れた社内システムが登場したことは、さしずめ湖水(淡水)に海水が混入した汽水湖(きすいこ)に変わったようなものだ。汽水湖で有名なのは島根県の宍道湖だが、豊かな生態系を有している。

 今後のイントラネットはインターネットの大きな変化の波(Web 2.0)の影響を受け続け、その形態に急速に近づいていく。イントラブログの普及の兆しはその表れである、と考えられるのである。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ