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» 2006年03月13日 09時30分 公開

需要はあってもまだ利用できないオープンソースの選挙システム (1/2)

有権者が選挙投票のためのオープンソースシステムを利用する気になっても、オープンソースの選挙投票向けソフトウェアおよびシステムをすぐに供給できるベンダーは存在しない。信頼に足る電子投票の実現に向けた鍵は何かを考える。

[Jay-Lyman,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 例え米国の有権者が選挙投票のためのオープンソースシステム――つまり、オープンソースライセンスの下で公に利用可能なプログラム――を利用する気になっても、オープンソースの選挙投票向けソフトウェアおよびシステムをすぐに供給できるベンダーは存在しない。

 独自仕様のシステムよりも安価で、管理が容易、透明性の高いオープンな投票システムは、オーストラリア、カナダ、エストニアといった国々で成功を収めている。しかし、米国における投票システムのオープンソース化や、投票者認証票の発行など投票の信頼性にかかわる状況は、Diebold、ES& S、Sequoiaといった主要ベンダーの消極的な姿勢によってさらに困難を極めている。

 より厳しいコードレビューと透明性をシステムに求める法と議論が、全世界のDieboldに圧力をかけている。また、来たるべき選挙に向けて何らかの投票システムを提供しなければならない選挙管理官たちは、世間の信頼が得られるテクノロジーと透明性を両立するシステムの情報を求めている。営利目的のベンダーが連邦や州のガイドラインに沿った認定条件を満足できなければ、より透明性の高い代替システムが利用できるのではないだろうか。

 ジョンズホプキンス大学のコンピュータサイエンスの教授であるアビ・ルビン氏は、電子投票の専門家であり、連邦から750万ドルの資金供給を受けている組織、ACCURATE(A Center for Correct, Usable, Reliable, Auditable, and Transparent Election)のディレクターを務めているが、投票所への導入準備が整っているオープンソースの投票システムについては聞いたことがないという。「私の知るかぎり、どのベンダーも独自仕様のシステムを使っている」と彼は語る。

 ルビン氏が知る中で唯一オープンソースの電子投票システムに取り組んでいるのが、Open Voting Consortium(OVC)だ。「OVCの活動のすべてに賛同するわけではないが、透明性とオープンソースという点で思い当たるのは彼らだけだ」とルビン氏は述べている。

 OVCの代表で最高経営責任者のアラン・デチャート氏は、従来の電子投票システムベンダーに代わって新たなシステムを実現するには多大な時間と資金の投資が必要になるだろうが、Open Voting Solutions(OVS)は、代替システムの準備を進めている、と語る。

 OVSの最高経営責任者であるリチャード・ジョンソン氏によると、OVSには商用の既製コンポーネントを利用したシステムがあり、Dellとの協定を活用して従来のベンダーの投票システムに代わる新しいシステムを提供することも可能だという。

 「仮に、連邦政府から認定された投票システムであってSourceForgeにある投票システム特有のソースコードのすべてを取り入れたシステムを提供する、という契約に明日署名したとしても、われわれならそれを実施できるだろう」とジョンソン氏は語る。「OVSは、こうした要請にすぐに対応できる状態にある」

 ジョンソン氏によると、投票以外の目的で設計、開発、導入された既製のコンポーネントは、連邦政府による投票システム認証の要件が免除されるという。OVSのソフトウェア、システム、プロセスには、すべての投票機器および投票者認証済み投票用紙の監視機能が備えられるはずだ、とジョンソン氏は語っている。この投票者認証済み投票用紙は、1対1の照合を行うことで電子投票時のチェックに役立つ。こうしたシステムの実現可能性を認識したジョンソン氏が、デビッド・ウェバー氏と共同で設立した組織がOVSなのだ。

 仮に、ある選挙区がOVSのシステムを採用する契約に合意したとすれば、「Linuxのような妥当なOS」上でシステムを実装し、Dellのハードウェアに載せて提供することになるだろう、とジョンソン氏は話している。また、選挙用に欧州で広く利用されているOASIS標準で、XMLから派生したElection Markup Languageも使われるだろう。

 セキュリティ保護、コスト、認証などの面において代替システムの利点を詳しく説明しながらも、州政府が提示する要求の変動、認定条件にぴったり合致したものを導入する必要性、電子投票の設備を入手するための複雑な財務上の手続きなど、従来からベンダーを苦しめてきた大きな難題が残っていることもジョンソン氏は認めている。

 それでもジョンソン氏は、真に透明性の高い投票システムとはオープンなソフトウェアを用いたシステムであると述べる人々に賛同している。「絶対的な要件として、投票に特化したあらゆるアプリケーションはオープンでなければならない、と私は考えている」と彼は語る。

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