需要はあってもまだ利用できないオープンソースの選挙システム(2/2 ページ)

» 2006年03月13日 09時30分 公開
[Jay-Lyman,japan.linux.com]
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ソフトウェア以外の問題

 Verified Voting Foundationの設立者で、スタンフォード大学のコンピュータサイエンスの教授であるデビッド・ディル氏もまた、ACCURATEセンターの役員を務めている。彼によると、「選挙の透明性」にかかわる全体像から見れば、ソフトウェアはそれほど重要ではなく、監査可能な設備や、オープンで立会人にも利用できる投票用処理も必要だという。第一に求められるのは「ソースコードの公開」であるとディル氏は強調している。

 「依然として企業が知的財産権を所有しているため、投票システムの販売は彼らにしかできない。しかし、公の立場にある者であればシステムの検査を行えるはずだ」とディル氏は語る。

 「ただし、オープンソース化にも問題はある」と、彼はオープンソースの活動について言及する。「認定要件上の理由から、投票システムは、十分な統制および管理の下で実現されなければならない。また、不必要な要素を除いた最小構成のシステムである必要がある。さらに、投票システムのソフトウェアと市場の間には、認証プロセス、すべての州にわたっての要求の変動、国および州への導入プロセス、契約で定められた高度な性能保証、サポートおよびメンテナンスの提供など、数多くの障壁が存在する。

 「選挙管理事務所は、非常に多くの配慮を求めているのだ」とディル氏は語る。「推測にすぎないが、商用の電子投票ソフトウェアを扱う規模の小さなベンダーの中には、もし確実に競争の上で優位に立てるのならソースコードの開示も辞さないベンダーもあるだろう」

 本当にオープンソースな電子投票システムに求められているのは完全な透明性である、という点にはルビン氏も同意している。「システムのあらゆる面は、その調査を求めているのが公の立場にある者であるかぎり、誰にでもレビューできるようになっていなければならないと思う」と彼は述べている。「だが、そこまで透明性を主張しているベンダーはないはずだ」

 ルビン氏によれば、ACCURATEセンターの狙いは、投票システムの設計や開発ではないという。「むしろ、センターの目的は、透明性を含めた多様な観点から投票システムを究極まで改善できるテクノロジーの基礎研究を行うことにある」と彼は説明する。「ACCURATEの“T”が表しているように、透明性は最も重要な要因の一つだ」

 またルビン氏は、米国の電子投票システムには、それが独占的ベンダーまたはオープンソースグループのどちらによるものであれ、より透明性の高いテストと認証が必要であることも強調している。

 「例えば、Independent Testing Authorityによるテスト実施プロセスには、まったく透明性がない」と彼は述べている。「テスト結果の報告書は非公開で、一般の人は閲覧できない。これは正当なやり方とは言えない」

 投票機器の動作だけでなく、そのテストや認証においても、透明性は、信頼に足る電子投票の実現に向けた鍵であり、結果として重要な課題になっている、とルビン氏は述べている。

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