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» 2006年03月28日 15時40分 公開

オープンソースで作るバーチャル不動産オフィス

MLSデータベースへの低コストアクセスをオープンソースソフトウェアを用いて実現することで、不動産業者のビジネスにも変化が生じる。苦労に見合った価値を提供してくれることは間違いない。

[Tina-Gasperson,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 イリノイ州ダウナーズグローブに居を構えるProfessional Mortgage Partnersはサイドビジネスとして、不動産業者を対象としたオフィスポータルの設立およびMultiple Listing Service(MLS)データベースへの低コストアクセスを、オープンソースソフトウェアを用いて実現するための技術コンサルタント業務を展開している。

 かつて不動産業者が見込み客へセールスをかける際には、商品である不動産目録のリストをハードコピーとしてプリントアウトしておく必要があったが、今日ではラップトップを片手に営業まわりに赴き、出先からバーチャルオフィスWebサイト(VOW)にアクセスすることで、MLSリストをリアルタイムで取り出すことを始め、電子メールへのアクセスや本社への連絡ができる時代になったのである。

 PMP/TechnologyでWebサービスマネジャーを務めるマット・ラバリー氏によると、同氏がクライアント用にインストールするVOWは“価格破壊商品”ということだ。同業他社によるVOWのライセンスでは、Oracleデータベースに格納する目録リストへのアクセスに年間3600ドルから1万1000ドルが課金されるのに対し、PMPのサービスでは年間400ドル程度に止まるが、その秘訣はMySQLデータベースの採用にあるという。

 MySQLの低コスト性は、不動産業者側とPMP側の双方にとって大きな恩恵となっているという。「こいつは非常に高速なだけでなく、これまで着実に動作してきたという実績があります」とラバリー氏は語る。「10月に撤退した別の業者は、250万ドルをかけたOracleのバックエンドを運用していました。それだけの経費を、個別サイトの運営だけで取り戻すことはまず無理ですね。ペイさせるだけで、すべての(不動産業者)事務所を顧客に取り込んで、5年間は料金を徴収し続ける必要があるでしょう」。

 MLSの新機能の一つに、Internet Data Exchange(IDX)というものがある。これは不動産業者用データフィード機能の一種であるが、単に目録リストを交換するだけでなく、これらの情報を各自のサイトに表示させることで、より強力なブローカー間の協力体制を確立できるようになっている。そしてラバリー氏が行ったのは、不動産業者が高価なプロバイダーサービスを利用しなくてもアクセスできるようIDXのコードをプログラミングすることであった。同氏は、「みんなが大手プロバイダーによって金庫を空にさせられる前に、オープンソースバージョンを用いた目録検索を誰でも利用できるようにしたいんですよ」と語り、彼が作ったIDXのバージョンをオープンソースソフトウェアとしてリリースすることを検討しているという。

 クライアントの出費をより一層抑えるためにラバリー氏が採用したのが、JavaをベースとしたGordanoグループウェアスイートである。これはExchangeサーバと互換性を持ち、任意のプラットフォーム上で運用できるため、ユーザーはより低価格なIntelハードウェアとフリーなLinuxオペレーティングシステムの組み合わせをオプションとして選択できるという。

 ラバリー氏によると、Gordanoを選んだことで、クライアントのオフィスを新システムに順次移行させる際に、電子メールなどのサービスに大きな混乱は生じなかったとのことである。「移行作業は非常に簡単でしたが、これは電子メールによるコミュニケーションにGordanoサーバを利用して、利用者数をコントロールできる“リダイレクト・ノンローカル”という機能が使えたおかげです」と同氏は語る。「これにより、参加者全員が100%確実な電子メールアクセスができますし、ユーザーに影響を及ぼすことなくリアルトラフィックのパフォーマンスモニタをすることもできます」。

 ラバリー氏によると、Gordanoの導入に伴う最大の課題は、Javaランタイムをすべてのデスクトップで均一に実装させることだった、とのことだ。「GordanoのWebメールクライアントは、Javaを利用しています。これらは非常に多くのバージョンが混在しているので、すべてのPCを正しくセットアップするのは一苦労でした。しかもこれは、今後も再発するであろう問題です。開発側もできるだけ多数のJVMをカバーするよう最善を尽くしているんでしょうが、リビジョン版も含めると、おそらくは150のバージョンがありますからね。これだけの数を維持するのは、かなりの大仕事だと思いますよ」。

 そのような苦労をしたラバリー氏であるが、Gordanoの低コスト性にはそれに見合うだけの価値があると言う。「わずか4000ドル程度で、オフィスにいる50人のユーザーをオンライン化することができます」というのが同氏の説明だ。「しかもこれは、アンチスパムやアンチウイルスも含めた数字です。Exchangeを使ったら、2万ドルぐらいはかかるでしょうね」。

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