「2006年はチャレンジの年」――日本市場の本格展開を狙うマイクロストラテジー

米国で多くの導入実績を持つBIベンダーの米MicroStrategyが日本市場への取り組みを強化する。同社の共同設立者でCOOを務めるサンジュ・バンサール氏、日本法人であるマイクロストラテジーの今井龍二氏に話を聞いた。

» 2006年03月30日 19時08分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 蓄積したデータを最大限に活用するために、ビジネスインテリジェンス(BI)への注目度が高まっている。欧米と比較するとまだ発展途上である日本におけるBI市場は、今後も成長が期待されている。米国で多くの導入実績を持つ米MicroStrategyも、日本市場の潜在的な大きさに目を付けるBIベンダーの1つ。同社の共同設立者でCOOを務めるサンジュ・バンサール氏、日本法人であるマイクロストラテジーの今井龍二氏に話を聞いた。

共同設立者でCOOを務めるサンジュ・バンサール氏

 米MicroStrategyは1989年、米バージニア州に設立された。拠点は35カ国、顧客は3000社(日本は100社)に上り、BI大手の一角として知られている。日本法人は2003年10月に設立されたが、認知度はまだまだ高くない状況だ。それを打破するべく、同社は日本市場での展開強化を打ち出している。

 バンサール氏は「既に、eBay、JPMorgan、Pfizer、AT&T、Yahoo!など、さまざまな企業に導入されている。この実績を武器に日本市場で真剣にビジネスを展開する」とアピールする。

 MicroStrategyのBIアプリケーションの最大の特徴はスケーラビリティの高さにある。

 一般的なBIアプリケーションは、データのサブセットをバッチで抽出したキューブベースであることが多い。そのため、データを取得する際にキューブ作成のための待ち時間が発生し、データの鮮度も悪くなってしまうという欠点があった。キューブが増えるごとにメンテナンスの負荷が増えることも問題として挙げられる。

 一方で、MicroStrategyにはRelational OLAP(ROLAP)が採用されている。ROLAPは、サーバ側のリレーショナルデータベースを小分けすることなく、直接検索・集計できることがメリット。データベースの詳細レベルまで分析することが可能という。また、キューブを作成する必要もないために、常にリアルタイムのデータを取得できる点もメリットとして挙げられる。

 常に1つのDBにアクセスするという点で、シングルデータモデルであることが特徴といえる。このため、システムがあまり複雑化しないために、多くのユーザー数を抱えることが可能になる。BIに関する調査「The OLAP Survey」でも、平均ユーザー数の項目で、3位のCognos PowerPlay、2位のBusiness Objectsを抑えて、MicroStrategyが1位になったとしている。

 また、Windows、AIX、hpux、Solaris、Linuxで64ビットアーキテクチャに対応している点も他社への差別化のポイントとして挙げている。

 同社は最新版となる「MicroStrategy 8」をリリース。MicroStrategy 7を踏襲しながら、ユーザーインタフェースの再設計や、分析とレポーティングの統合、さらに、SAP BWやほかのERPへのダイレクトアクセスなどの機能を盛り込んでいる。

 同社はこれまで、リセラーであるJMASを介した販売を中心にしていた。「2006年はチャレンジの年」と話すバンサール氏は、日本で直販比率アップ目指す考えだ。

「Excelから操作できる点も強み」と話す日本法人の今井社長

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