原点回帰で「HDD」「薄型テレビ」「液晶」の黒字化を目指す日立の古川新社長

社長就任会見で日立の古川新社長は、原点回帰を掲げ、HDD、薄型テレビ、液晶ディスプレイの3事業の黒字化に自信を示した。また同氏は、さまざまな事業に情報基盤事業を掛け合わせることのシナジーも強調した。

» 2006年04月03日 18時45分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「創業の原点に立ち返り、地道かつ着実に収益力を回復させ、世界のエクセレントカンパニーとして“Inspire the Next”を実践したい」── 4月1日付けで日立製作所の社長に就任した古川一夫氏は技術者らしい抱負を語った。これまで同氏は、情報・通信グループ長/CEOを務めてきた。

社長就任会見に臨んだ古川氏

 日立製作所は4月3日、都内のホテルで社長就任会見を行った。2010年に創業100周年を迎える同社は、海外の技術が幅を利かせる中、「国産技術の振興」を掲げて創業されたという。「和」「誠」、そして「開拓者精神」という、いわゆる「日立精神」は「今の時代にあっても非常に大切なものだ」と古川氏は話す。

 同社は庄山悦彦前社長(現会長)の下、同社は1999年から事業構造改革に取り組んできた。事業ポートフォリオの組み替えやグローバル化が進み、ユビキタス情報社会の中核製品としてHDDや薄型テレビ、液晶ディスプレイへの先行投資も行われている。

 しかし、これらの3つの新事業はいずれも価格の下落に苦しんできた。異例ともいえる重電出身以外の社長就任だが、最大の経営課題である3事業の黒字化を図るには適任といえるだろう。特にHDD事業について記者から問われ、開発力の強化、品質向上、中国での生産開始を挙げ、その黒字化に自信を見せた。

 また、古川氏は、さまざまな事業に情報基盤事業を掛け合わせることのシナジーも強調した。

 日立は、電力や鉄道といった社会基盤事業から建設機械や自動車機器システムといった産業基盤事業、通信・放送、デジタル家電の生活基盤事業まで、世界に例を見ないほどの幅広い社会インフラ事業を手掛けている。

 「庄山前社長の下でスタートしたi.e.HITACHIプランによって、日立のグループ結束力は高まった。ポテンシャルは高い。各基盤事業に高度なITを掛け合わせることで、真の総合力を発揮し、新たな価値を創造するのが私の使命だ」と古川氏は話した。

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