アウトソーサーから見たFOSSMagi's View(2/2 ページ)

» 2006年04月04日 14時04分 公開
[Bruce-Byfield,IT Manager's Journal]
SourceForge.JP Magazine
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FOSSとアウトソーシングは似たもの同士?

 FOSSがアウトソーシングに取って代わる可能性はあるが、両者の対立は通常考えられているよりも少ないとフェジェス氏は言う。どちらも分散型の開発であり、プロジェクトの参加者が顔を合わせる必要はない。FOSSは、メール、IRC、VoIP、オンライン・コラボレーション・ツール、バージョン・コントロール・ツールなど、分散開発を可能にする技術の多くについてFOSSバージョンを開発したり提供したりしている。さらに、FOSSの開発モデルではプロジェクトに別動隊を設けることが多く、これはプロジェクトの一部をアウトソーシングしたからといって品質が低下するとは限らないことを示すものだとフェジェス氏は指摘する。

 こうした理由から、フェジェス氏は、FOSSベースの企業はアウトソーシングに対する親和性が高いと見ている。「そうした企業では、企業の性格上、分散開発に必要な環境が整っており、積極的ですらある。必要となる基盤、コミュニケーション法、習慣の違いや時差の問題を扱い慣れている」。また、プロプライエタリな企業に比べ、ビルドファームや単体試験や相互レビューなど、アウトソーシングで使われる技術の多くに馴染みがあるだろうからというのである。

 実際、フェジェス氏は一部のアウトソーシング企業はFOSSベースだと指摘する。しかし、そうした例は少数派で、FOSSのコミュニティーの実態を考えると衰退していくだろうという。おそらく次第にFOSS方式から離れ、従来型のアウトソーシング企業になっていくだろう。「ボランティアの増加が追いつかない」からだ。

 FOSSがアウトソーシングにもたらす最大のプラス効果は、その国際的性格から生ずる。つまり、常にアウトソーシングに向けられてきた敵意、時に国粋的ともなる敵意の解消につながるとフェジェス氏は見ている。「こうしたプロジェクトが続き、技術者が各国のコンポーネントを使っていけば、これまでコラボレーティブな開発プロジェクトを破綻させてきた『ここで作られたものではない』症候群は消えていくだろう」。フェジェス氏の言うことが正しければ、アウトソーシングにとって、FOSSは脅威となるビジネス潮流であるどころか、好機であり自身を正当化してくれる存在ということになる。オープンソース・コミュニティーに属するわれわれにとっては決して耳に心地良い言葉ではないが、ともあれ、それがビジネスというものなのだろう。

Bruce Byfieldは、研修コースの開発者でありインストラクター。コンピュータ・ジャーナリストでもあり、NewsForge、Linux.com、IT Manager's Journalの常連。


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