Novellが新しいLinuxビルドサービスを発表――.NETと企業デスクトップを狙うLinuxWorld(1/2 ページ)

ボストンで開催中のLinuxWorldにおいて、Novellは各種Linuxディストリビューション用のパッケージの作成を簡素化する新しいLinuxビルドサービスフレームワーク「OpenSUSE」ビルドサービスやMono 1.2のβ版を披露するなどした。

» 2006年04月04日 16時45分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 年次LinuxWorld Conferenceにおいて、Novellは新しいLinuxビルドサービスフレームワークの一部として、「OpenSUSE」ビルドサービスについて説明した。このサービスは、将来のSUSE Linuxディストリビューションの開発プラットフォームになる。

 ボストンで開かれているLinuxWorld Conferenceの開幕初日の4月3日、NovellはMicrosoft .NET Frameworkのオープンソースインプリメンテーションである「Mono 1.2」のβ版を披露した。このソフトウェアは、企業のIT部門やISV(独立系ソフトウェアベンダ)の開発者が、既存の.NETアプリケーションをLinuxに移行し、新しいLinux/クロスプラットフォーム対応アプリケーションを構築するのを支援することを目的とする。

 さらにNovellは、新しいLinuxビルドサービスフレームワークを開発中であることを明らかにするとともに、同社のコミュニティー向けLinuxディストリビューションの最新版「SUSE Linux 10.1」のリリースに関する詳細も発表した。

 OpenSUSEビルドサービスは、新しいLinuxビルドサービスフレームワークであり、SUSE Linuxだけでなく各種Linuxディストリビューション用のパッケージの作成を簡素化する。また、このビルドサービスは、将来のSUSE Linuxディストリビューションの開発プラットフォームにもなるという。

 OpenSUSEには、サーババックエンドとクライアントフロントエンドが含まれる。

 サーババックエンドは、ソース、ビルドインフラ、パッケージダウンロード/ミラーリング用ツール、コミュニケーションインフラをホストする。

 「クライアントフロントエンドには、ソースコードからパッケージを構成・ビルドするために必要なツールとインタフェースが含まれ、コマンドライン方式およびWebベースのインタフェースを備える」とNovellのLinuxエンジニアリング担当副社長、エリック・アンダーソン氏は説明する。

 同氏によると、OpenSUSEビルドサービスに含まれるサーバコンポーネントの大部分のおよびすべてのクライアントコンポーネントは、公開API(Application Programming Interface)を備えたオープンソースツールであるため、既存のビルドツールに容易に連携することが可能だという。

 このビルドサービスが完成すれば、コミュニティーのLinux技術者たちは初めて、NovellのSUSE Linuxや各種Linuxディストリビューションにインストール可能なコミュニティーソースコードから、実行可能なLinuxパッケージを容易に作成できるようになる。これにより、イノベーションが促進され、ユーザーは有用なソフトウェアをより早く手に入れることが可能になるという。

 OpenSUSEビルドサービスは現在、コミュニティーでの検証とバグフィックスを行う少数の初期テスターにだけ提供されているが、4〜6月期には強力なハードウェアインフラが導入される見込みだ。

 アンダーソン氏によると、同サービスでは、開発者がSUSE Linuxのコアパッケージにアクセスできるので、SUSE Linuxベースをベースとして特定のタスク用に最適化されたまったく新しいディストリビューションを作成可能になるという。

 OpenSUSEビルドサービスへのアクセスは年内に一般に利用可能になる予定だが、プレビューは現時点で可能となっている。

 Novellは今週、このビルドサービスの最初のコンポーネントのデモをLinuxWorldで行う予定だ。

 「オープンソース開発者は、インストール可能なLinuxパッケージを自分のソースコードから作成するための定型的・機械的なプロセスを効率化する手段を必要としている。このサービスにより、コミュニティーの技術者は1カ所のサイトにアクセスして、SUSE Linuxベースのディストリビューション用のアプリケーションを開発するのに必要なツールやサービスを無償で利用できるようになる」とアンダーソン氏は話す。

 同氏によると、Novellでは、このビルドサービスをワンストップ型Linux開発センターへと拡張するために、SUSE Linuxベースのディストリビューションだけでなく、Red HatやDebianなどの人気ディストリビューションもサポートするという。

 Ideas Internationalでシステムソフトウェアの調査を担当するトニー・アイアムズ副社長は、この動きを歓迎している。同氏は発表文の中で、「Novellは、Linuxパッケージの作成を簡素化するオープンソース技術をインプリメントする作業を進めてきた。各分野のLinux技術者は、Linux開発を容易にするためにNovellが行ったことに注目すべきだ」と述べている。

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