新参入の開発市場に残したVisual Studioの課題――完成するTeam System（2/2 ページ）

» 2006年04月06日 07時00分 公開
[Greg DeMichillie，Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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　モデリングは、MicrosoftのDSI（Dynamic Systems Initiative）構想における重要な概念の1つである。DSIは同社が進めているソフトウェアの管理性の向上を目的とした長期的な取り組みだ。DSIの背後にある中心的な考え方は、ソフトウェアの各構成要素はそれぞれにモデルがあり、これをXML形式で表現することでソフトウェアの導入と管理を支援するというものだ。Team Systemのモデリング機能はDSI構想が描く機能とは程遠いものだが、DSI対応アプリケーションに組み込むべき情報の種類について開発者が意識するよう仕向けることはできるだろう。

　ただし、Microsoftの第1世代のモデリングツールはかなり制限があるため、モデリング機能を売りにしてTeam Systemを訴求することは難しい。同社は、最終的には既存のデータセンターから自動的に正確なモデルを生成および保守するツールを開発したいとしている。それまではデータセンターの変更に合わせてモデルを保守する作業は、Microsoftのアプローチの中で最大の弱点になりそうだ。理由としてはまず、Visual Studioは多くのITプロフェッショナルにとって馴染みのないツールだが、この使い方を学習しなければならない。また、論理データセンターデザイナは、データセンター内に配置されるサーバの種類を定義するのみで、サーバの実際のインスタンスを定義するわけではない。したがって、正確なモデルを確立するには、同種のサーバのインスタンスがすべて同じ設定になるよう気を配る必要がある。

小規模チーム向けのWorkgroup Editionを提供

　Team Foundation Serverは、最大5名までの小規模チーム向けのWorkgroup Editionと、レギュラーエディションの2エディションで展開される。両エディション間に機能面での違いはなく、違いはWorkgroup Editionのサポートユーザー数が制限されている点のみである。

　Microsoftは当初、Team Foundation Serverのスタンドアロンエディションのみの販売を予定していた。しかし、同エディションのオープンライセンスは2230ドルであり、この価格ではコンサルタントをはじめとする小規模企業には手が出せないことから、不満の声が多く上がっていた。そこで、このような小規模ユーザー向けにサポートユーザー数を5名に制限したWorkgroup Editionが設けられた。Workgroup Editionは、MSDN（Microsoft Developer Network）Universalサブスクリプション会員に対して無償でダウンロード提供される見込みだ。

Team System対応クライアントは3エディション

　Team Foundation ServerをサポートするVisual Studioは、次の3エディションが用意されている。

  • Visual Studio Team Edition for Software Architects
  • Visual Studio Team Edition for Software Developers
  • Visual Studio Team Edition for Software Testers

　いずれのエディションも、ソースコードの変更管理やプロジェクトワークアイテムのトラッキングなど、Team Systemのコア機能をサポートする。ただし、各エディションは職務別の機能も備えている。例えば、Software Architectsエディションにはアプリケーションモデリング機能、Developerエディションにはソースコードのパフォーマンス分析ツール、Testersエディションには自動ソフトウェアテストスイートがそれぞれ搭載される。また、これら職務別の3エディションの機能を1つの開発環境に統合したTeam Suiteも提供される。

Team Systemの各クライアントエディション

開発ロール 機能 Software Architects Software Developers Software Testers
アーキテクト アプリケーションモデリング ○ 　 　
配置（デプロイ）モデリング ○ 　 　
クラスモデリング ○ ○ 　
開発者 ソースコード分析 　 ○ 　
ソースコードプロファイリング 　 ○ 　
テスト 負荷テスト 　 　 ○
テストケース管理 　 　 ○
単体テスト 　 　 ○
コードカバレッジ 　 ○ ○
コラボレーション 変更管理 ○ ○ ○
ワークアイテムトラッキング ○ ○ ○
レポート ○ ○ ○
Team System機能を利用するには、ユーザーごとにクライアントアクセスライセンス（CAL）が必要だ。これは、各Visual Studio Team Editionの価格に含まれている。ただし、ProjectやExcel、サードパーティ製アプリケーションなど他のツールからTeam Foundation Serverにアクセスするには、別途CALを購入する必要がある。


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