1Tバイト100ドル時代に向けて――IBMとMSで新たなDB戦争が激化(2/2 ページ)

» 2006年04月10日 17時05分 公開
[Lisa Vaas,eWEEK]
eWEEK
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Viperの目玉はXML処理機能

 一方、IBMでデータサーバを担当するボブ・ピチアーノ氏によると、同社のDB2のハイブリッド型XML/リレーショナルバージョンであるViperでは、DB2のオートノミックコンピューティング技術の1つであるソフトウェアベースのディスク/メモリストレージ機能を採用したという。

 Viperの無償試用版のリリースに関するIBMの発表後に行われたeWEEKのインタビューの中で、ピチアーノ氏は「この新しい圧縮技術を利用すれば、Viperでそれを利用しない場合や競合データベースと比べて、ストレージインフラのコストを約54%削減することができる」と述べた。

 「ほかのデータベースで情報を保存するのに1Tバイトの容量が必要だとしたら、DB2では0.5Tバイトで済むだろう」(ピチアーノ氏)

 同氏によると、Viperでは、トランザクションパフォーマンスに影響するオーバーヘッドは「ほとんどない」という。これは、DB2の内部構造に含まれるメモリ上でデータの圧縮が行われるためだ。これに対して、競合するデータベース製品の場合は、ディスクにアクセスして情報を読み込み、メモリに格納する必要がある。Viperのようにメモリ上に情報を保持すれば、データへのアクセスが大幅に高速化される。

 「新しい圧縮技術は、ディスク上および実メモリ内のストレージスペースを節約することにより、ストレージコストを54%節約する(60%節約したと報告している顧客もいる)」とピチアーノ氏は話す。

 「データ量の爆発的増加という問題が騒がれる中、顧客は、データストレージとデータ管理がIT支出で最も大きな部分を占めると語ってる」(同氏)

 IBMは2005年夏、ウォール街の大手金融機関(名前は不明)と共同で新しい圧縮技術のテストを行った。この金融機関の経営者は、大きな負担となっているストレージ支出を抑制するためなら、10〜15%のパフォーマンス低下は受け入れるつもりだったが、実際にはパフォーマンスの低下はなかったという。これは、IBMがシステム全体にわたってデータを圧縮することができたからだ。

 「これは当社以外のどのデータベースベンダーもまだ実現していない成果だ。これによってDB2への注目度が高まるものと期待している」(ピチアーノ氏)

 さらにIBMは、新バージョンのハイブリッド型Viperの画期的なXML処理機能も宣伝している。同社幹部および初期βユーザーらによると、Viperは、かつてない方法で純粋なXMLデータと従来のリレーショナルデータの両方を扱うことができるという。

 ニューヨーク州スターテンアイランドにあるStradasoftのルー・エスポジトCIO(最高情報責任者)は、「従来では、XMLデータの保存とアクセスを可能にするには、自らで多くの作業をしなければならなかった」と話している。同社では、「Strada」というBPM(ビジネスプロセスマネジメント)製品を提供しており、この製品にViperを組み込む予定だという。

 「従来は、すべてのXMLデータに検索をかけるのは困難だったが、今後は、XMLデータを直接データベース内にローカル保存できるようになる。これは信じられないような機能だ」とエスポジト氏は語る。

 エスポジト氏は、まだ新しい圧縮技術をテストしていないという。

 ViperのXMLデータ処理機能に対する同氏の期待の大きさは、データ量の爆発的増加という問題にデータベース大手各社が本気で対応しようとしていることを示すものだと言える。Viperでは、CLOB(Character Large Object)やBLOB(Binary Large Object)を扱う際に、XMLデータを断片化してリレーショナル構造に格納したり、XMLストレージに復元したりしなくても済む。このため、これらの手法に伴うオーバーヘッドなしでXMLを処理することができる。

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