OracleはSIPインフラストラクチャを、HotSipの買収によって手中に収めている。通信業界が抱える急務は統合ネットワークの活用。同社は、あらゆるサービスを統合IPネットワーク上で提供することを目指している。
米Oracleの幹部が、通信サービス業界に対する取り組みについて語った。オープンソースにはあまり言及しなかったものの、同社としては初めての試みとなる、ミドルウェア向け垂直市場への参入計画の概要も明らかにした。
Oracleは4月18日、ノルウェーの「Parlay」および「SLEE(Service Logic Execution Environment)」技術プロバイダー、Net4Callの買収を発表した。
同日には、通信サービス業界を対象とする、包括的な標準ベースのサービス配信プラットフォーム(Services Delivery Platform:SDP)のロードマップも公表されている。
Parlayは、特定の技術に依存しないオープンなAPIの規格で、統合ネットワークの全域で動作できるアプリケーションを開発するために用いられている。
Parlay APIは、安全かつ標準的で、課金が可能なインタフェースを提供し、インターネットマルチメディアネットワークおよびインテリジェントネットワーク(IN)とITアプリケーションを統合することから、世界中の通信事業者のネットワークで広く採用されてきた。
OracleはNet4Callの買収に関し、通信業界を対象とした新たなロードマップに従って、同社製品プロダクトのサポート、および開発を継続予定とする声明を発表している。
一方、OracleのSDPは、「コミュニケーションサービスプロバイダーやネットワーク事業者、システムインテグレーターが、現在運用しているサイロ型ネットワークからサービス指向アーキテクチャ(SOA)への移行を図り、既存もしくは次世代のコミュニケーションIPネットワークに新しいサービスを実装する際の時間とコストを削減するのを支援するものだ」と、声明に記されている。
Oracleの社長を務めるチャールズ・フィリップス氏は、マスコミおよびアナリスト向けの会見を開き、同社のSDPは、次世代の音声認識アプリケーションやモバイルアプリケーションを開発している企業も対象にしていると述べた。
また、事業者がこれまでインフラストラクチャに行ってきた投資を生かす形で、VoIP(Voice over IP)やIMS(IP Multimedia Subsystem)、プレゼンスといった新技術を取り入れていことを助ける働きもするという。
Oracleは以前にも複数の通信事業者を買収しており、これを踏まえて対通信事業者ロードマップを作成している。2006年2月に取得した、SIP(Session Initiation Protocol)およびIMSプラットフォームプロバイダーのHotSipがその一例だ。
HotSipは、J2EE/SIPアプリケーションサーバ上で利用する通信インフラストラクチャソフトウェアや、メッセージング、テレフォニー、カンファレンス機能を実現するアプリケーションを提供している。
2005年6月にTimesTenを買収したことも、Oracleが通信サービス業界への取り組みに自信をのぞかせる根拠の一つとなっている。
TimesTenのインメモリデータベースは、きわめて高速なデータ復元が求められる通信サービス業界で、標準的に利用されているものだ。
最もフィリップス氏は、Oracleの対通信業界ロードマップを支えているのは、近年繰り返してきた買収ではなく、同社が今日に至るまで築いてきた同業界における輝かしい業績なのだと主張する。
「われわれはこの業界で、すでに多くの企業と協力関係を結んでいる。(通信サービス企業は)Oracleのことをよく理解しているし、当社のデータベースを何年もの間利用してきている」(フィリップス氏)
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