サン・マイクロシステムズ社長末次朝彦氏「サン全体での日本の売り上げ比率倍増へ」(2/2 ページ)

» 2006年05月11日 07時00分 公開
[松岡 功,ITmedia]
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サンのビジョンを具現化するのはこれから

 今回のインタビューでは、期待の大きい末次氏だからこそ、ぜひ聞いてみたいことが二つあった。一つは、IT分野での最近のサンの存在感についてである。サンは「あらゆる人、あらゆるものをネットワークでつなぐこと」を企業理念とし、「デジタルデバイドの解消」を目指して、これまでIT分野のビジョナリーの役割を果たしてきた。しかし、最近その勢いが少し弱まってしまったのではないかと感じているのは、おそらく筆者だけではないだろう。

 もう一つは、末次氏のマネジメントに対する考え方である。これまで幾度も取材をさせていただく機会があったが、マネジメントに対する考え方については聞いたことがなかった。さて末次氏の回答やいかに。

アイティセレクト サンはこれまでIT分野のビジョナリーの役割を果たしてきましたが、最近はその発信の勢いが少し弱まってしまったのではないでしょうか。

末次  そうは思いません。サンが当初からビジョンとして掲げている「The Network is the computer.」を具現化するのは、むしろこれからです。今後、ユビキタスネットワーク社会が現実のものになってくれば、サンのビジョンや使命はこれまで以上に具体的かつ大きなものになってきます。これからの私たちの重要な役割として、あらためてサンのメッセージを分かりやすい日本語でお伝えしていかないといけないと思っています。

アイティセレクト 日本法人トップとしての末次さんの責任も重大ですね。

末次  しっかりと肝に銘じて挑みたいですね。いま自分自身で心がけたいと思っているのは、できるだけ自分の言葉で話すようにしようと。とかく外資系企業のトップは親会社の意向に沿ったメッセージしか発しないと見られがちですが、発想は逆。むしろ株主は親会社だけなわけですから、その意向を踏まえたうえで日本法人のトップとしてもっと積極的な発言ができると、私は思っています。

 一方で、親会社のヘッドクォーターにも日本のことをきちんと伝えていきたいと思っています。日本でビジネスを展開していくうえでは、現実的な商習慣や文化の違いなどを踏まえることも不可欠です。その意味では、日本人だからこそ肝を据えて取りかかれる。そうした思いをしっかり持って、親会社のヘッドクォーターとも話をしていきたいと考えています。

アイティセレクト 今後、日本法人の規模や影響力を大きくしていくうえでの目標は何でしょうか。

末次  ユーティリティ・ビジネスモデルに移行していくとなると、今後は単純に売り上げ規模では計れなくなりますが、私の胸の内としては、サンのワールドワイドに占める日本法人の売り上げ比率(筆者注:現在10%弱とみられる)を、3年以内には倍増させたいと思っています。それによってサンの中での日本法人の発言力を高め、事業の強化につなげていきたいですね。

アイティセレクト 最後に、マネジメントに対する基本的な考え方をお聞かせください。

末次  私が最も信条としているのは、会社の中で働く人にとってそれぞれの仕事は役職ではなく、役割だということです。その分担をすることで会社全体が回っているわけです。もう少しかみ砕いて言うと、役職によって偉いとか偉くないとかではなく、人は誰しも対等であって、それぞれ与えられた役割をどう演じるかを考えればいい。もちろん、役割によっては会社として大事なことを決定し、もし間違っていたら責任をとることもあります。でもそれは役職ではなく、役割なんです。ですから議論をするうえでは、誰しも対等な立場で大いに戦わせればいい。それが会社としての活気につながるのだと確信しています。今後もぜひ、この考え方を貫きたいと思っています。

このインタビューは現在発売中のアイティセレクト6月号で掲載されています。

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