漏えい防止から情報コンテナまで――ドキュメント管理を支えるアドビのPDF確実なコンプライアンス対策を実現する ドキュメント管理ソリューション(1/2 ページ)

電子データ化した社内文書のフォーマットとしてよく利用されるのがPDFだ。PDFフォーマットを開発したアドビシステムズはドキュメント管理に有用なさまざま機能をPDFの中に盛り込んでいる。ここでは、文書フォーマットの立場から提案するアドビシステムズのソリューションを見て行こう。

» 2006年05月15日 07時00分 公開
[ITmedia]

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電子文書の標準フォーマットになったPDF

 多くのベンダーからさまざまなドキュメント管理ソリューションが登場しているが、そうしたソリューションで多用されているドキュメントフォーマットが「PDF(Portable Document Format)」である。PDFは1990年、アドビシステムズがWindows、MacOS、UNIXなど異なるプラットフォーム上で同一の文書を閲覧、印刷することを目的に開発され、現在ではインターネットにおけるデファクトスタンダードの技術として利用されている。

 ドキュメント管理ソリューションを考えるとき、電子データ化した文書はすべてのユーザーが利用できるフォーマットを選定し、統一することが望まれる。また、長期保存に適した文書フォーマットの永続性も考慮する必要がある。こうした要求に最適なフォーマットとして支持されているのが、PDFだ。

 PDFは、アドビシステムズが無料で配布している閲覧ソフト「Adobe Reader」を利用することで、あらゆるコンピュータ環境でオリジナルの文書レイアウトをほぼ正確に表示できる再現性を持っている。また、アドビシステムズが仕様を公開したオープンなフォーマットであるため、万一アドビシステムズがPDFの開発を中止したとしても、技術が消えることはない。こうした特徴が、多くのベンダー、あるいはユーザー企業がPDFを採用する理由となっている。

必要最低限のセキュリティ機能

 再現性やオープン性に加え、PDFの優れた特徴となっているのが、セキュリティ機能である。PDFは、パラメータを設定することで文書をパスワードで保護できるだけでなく、編集禁止による改ざん防止、情報流出につながる印刷、およびデータコピーの制御などの機能を持っている。こうした機能は、特に文書として完成し、閲覧目的のドキュメントを保存するには最適だと言える。ただし、こうしたセキュリティ機能は、ドキュメント管理において必要最低限のものだ。

 というのは、いくらセキュリティ設定を施したPDFであっても、クライアントにコピーされた配布後のセキュリティリスクは回避できない。閲覧期限を定め、使用後は廃棄するようにルールを決めても、それを周知徹底することは不可能だ。例えば、パスワードロックされたPDFであっても、パスワードを知っている閲覧者が故意に情報を流出させることまでは防ぐことができない。印刷やコピーを禁止しても、スクリーンショットを撮ってイメージ化すれば印刷できるし、タイプしなおせば文章を写すこともできてしまう。

 ドキュメント管理ソリューションでは、ドキュメントを保存しているデータベースやストレージは極めてセキュアな状態に保たれている。しかし、そのドキュメントがいったん外に出てしまえば、情報漏えいを防止できない。これが現状である。

 こうしたドキュメントの情報漏えいリスクに対処するために取り組んでいるのが、アドビシステムである。同社は、自身をドキュメント管理ソリューションベンダーとは考えていない。ドキュメント管理ソリューションベンダーが採用するPDFについて、セキュリティ機能を含めて後方支援するというのが、アドビシステムズの立場だとしている。

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