漏えい防止から情報コンテナまで――ドキュメント管理を支えるアドビのPDF確実なコンプライアンス対策を実現する ドキュメント管理ソリューション(2/2 ページ)

» 2006年05月15日 07時00分 公開
[ITmedia]
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セキュリティを高めるサーバソフト

 アドビシステムズがドキュメント管理ソリューションのセキュリティ強化を目的に提供しているのが「LiveCycle Policy Server」である。このサーバソフトは、PDFファイルに対して動的なセキュリティポリシーを適用し、ドキュメントの利用者や使用方法、期間などを指定できる製品だ。

 LiveCycle Policy Serverがターゲットとしているのは、配布後のPDFファイルだ。従来のPDFファイルの場合、いったん配布されてしまうとそのドキュメントをコントロールすることは不可能だが、そうしたPDFファイルの欠点を補うことができる。

 LiveCycle Policy Serverを適用したPDFファイルの場合、閲覧時にネットワーク経由でサーバにアクセスしてログイン作業を行い、そのPDFファイルに設定されているアクセス権限や有効期限などのセキュリティポリシーを確認する。セキュリティポリシーの設定は、ドキュメントの作成者がいつでも自由に変更することが可能。この機能により、例えば契約に至らなかった商談で使用したプレゼンテーション資料を閲覧不可にするなど、意図しない人間の閲覧を防止できるようになる(画面1)。

 また、誰がいつ、どのPDFファイルを開いたのかアクセスログに記録されるので、パスワード認証の失敗頻度から不正アクセスを見抜いてPDFファイルを無効にしたり、情報漏えいが起きた場合にどこから漏れたかトレースしたりすることもできる。

 さらに、PDFファイルのバージョン管理も可能で、更新されたPDFファイルが別に存在すればそのURLを表示し、ダウンロードを促す機能がある。

 なお、LiveCycle Policy Serverは、現時点ではPDFファイルのみの対応だが、将来的にはWordやExcelなど、Microsoft Officeアプリケーションの文書ファイルについてもセキュリティポリシー設定を可能にする計画だという。配布後のドキュメントのセキュリティ対策には最適のソリューションとなるのは間違いない。

LiveCycle Policy Serverのポリシー設定画面

情報コンテナとしてのPDF活用

 もう1つ、アドビシステムズが提案するPDFの活用方法が「情報コンテナ」である。PDFファイルは、テキストや画像をレイアウトできるだけでなく、別のフォーマットのファイルを添付したり、埋め込んだりすることが可能だ。この機能により、例えばプロジェクトの終了後、その成果物として保管するあらゆる文書ファイルをPDFファイル内に格納するという、フォルダのような使い方が可能になる。通常、プロジェクト終了後のファイルは、ZIP圧縮形式などでアーカイブ化して保存することが多いが、PDFファイルでは添付したり埋め込んだりした文書ファイルに対してコメントや説明を自由に付けることができる。また、PDF自体が圧縮フォーマットになっているため、ストレージ容量の節約も実現できる。こうした情報コンテナとしてのPDFの活用は、最も簡単な仕組みのドキュメント管理ソリューションとして今後注目されていくだろう。

 このほか、PDFはワークフローの帳票としても有効に利用できる。PDFは閲覧に最適なドキュメントフォーマットという印象が強いが、実は入力フォームを自由に配置し、必要事項を記入させる文書としても扱える(画面2)。つまり、リッチクライアントのような使い方だ。これはすでに、地方自治体や銀行などの申請書類、申込書などで活用されている。

PDFフォームを利用した帳票書類の例

 こうした使い方も可能なPDFは、ドキュメント管理ソリューションを実現する上でますます重要なフォーマットとして地位を高めていくだろう。

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