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» 2006年05月15日 14時17分 公開

Magi's View:GPLの順守の現状と問題点 (2/3)

[Joe-'Zonker'-Brockmeier,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

違反行為の摘発

 違反行為を見つけて証拠を握るというのも、困難な作業の1つである。ある特定のデバイスやプログラムが違反行為をしているかを確認するのは非常に手間のかかる仕事となるが、これは通常、違反者がソースコードを公開していることは(本質的に)ないからである。このため、組み込みデバイスやプロプライエタリ系ソフトウェアにおける違反行為を立証するには、摘発側がソフトウェアやデバイスを入手してから(それだけでも結構な出費になるが)、改めてGPLの適用コードを使用していることを確認するための手間のかかる作業に取りかかることになる。ウェルテ氏は、同氏のブログにエントリを設けて、幾つかの事例を取り上げている。

弁護士との打ち合わせ、法的書類の査読、侵害の疑われる企業との交渉などに入る以前に、すでに製品の試験購入をする段階でトラブルに遭遇しております。幾つかの業者はこちらの指示を断ることになりましたが、実際に注文の段となると、また別のトラブルが生じました。

 試験購入用の製品を先日注文したオンラインショップからは、わたしにIDカードの両面をコピーして提示することを求められました……。これは、すべてのデータ保護法に対して、真っ向から違反する行為です。わたしのパスポートの顔写真や、IDカード番号や、身長や目の色などを、相手が知るべき必然性は、どこをどう考えてもないはずです。結果としてわたしは、公式の抗議文をベルリンのデータ保護局に提出する羽目になったのですが、わたしにだってほかに仕事があるのです。

 またわたしはここ数カ月間、GPLの違反企業に対して、金利0%で1万ユーロのローンを組んでいるも同然の状態です。これはGPLの違反行為を立証するための試験購入に要した費用ですが、今のところ払い戻しをされておりません。

 違反の摘発を簡便化する方法の1つは、GPLの適用コードを利用している業者を積極的に特定してゆくことである。例えばラビチャー氏のクライアントが構築したインタフェースには、特定の質問を入力するとこのクライアント名を表示するという機能が組み込まれており、仮にどこかの企業がこのコードを無断で組み込んだプログラムを作った場合に、この機能は有力な証拠を提供することになるという。同氏が提案しているのは、ほかのフリーソフトウェア開発者も、不正使用に備えた識別用の“フィンガープリント”機能を各自のコードに装備しておくべきだということなのだ。

 一方でラビチャー氏は、フリーソフトウェアユーザーおよび賛同者たちの作る“巨大なコミュニティー”は、GPL規約違反の容疑者を特定して報告するに当たって、大きな貢献ができることを指摘している。フリーソフトウェアの支援者は、さまざまな企業や組織で技術者として働いているはずであり、不正行為を見つけた場合は、匿名で報告すればいいということである。

違反者との接し方

 GPL Violations FAQによると、違反者を見つけた場合、最初の対応は攻撃的に行うのではなく建設的に進めることが重要だとされている。違反行為は意図的なものかもしれないし過失によるものかもしれないが、いずれにせよ相手側の企業やプロジェクトと最初の接触をする際には、疑わしきは罰せずの原則に従っておくのがおそらくは最善の方法であり、あまり目立たない形で接触するようにした方がいいであろう。

 GPL Violations FAQにある説明では、「企業を相手にする場合は、紳士的かつ断固たる態度で対応するのが肝要であり、その際に忘れてはいけないのは、最終的な目的は GPLに対する企業側の違反行為を止めさせて再発を防止させることにあり、決して相手の本社を瓦礫の山に変えてやることではない……、少なくとも初犯の段階では、その程度にしておくべきだ」とされている。

 ランドレイ氏によると、紳士的な対応が有効であるかは相手の企業次第だということになる。「企業によっては、単純な見落としをしていただけで、丁寧な謝罪のメールを送ってくる場合もあります。また別の企業では、日々の業務が忙しすぎて、使用停止を求める書面を送付しないかぎり反応してくれないところもあります。さらに別の企業では、門前払いを食らわせるだけで、最終的には裁判沙汰に持ち込むしかないというのもあるでしょう」。

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