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» 2006年05月15日 14時17分 公開

Magi's View:GPLの順守の現状と問題点 (3/3)

[Joe-'Zonker'-Brockmeier,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine
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GPLv3に向けて

 GPLの順守活動を語るのであれば、GPLv3の草案および侵害時の契約打ち切り手続きに関する条項の変更についても触れておくべきだろう。現行バージョンのGPLでは、該当プログラムにおけるGPLの適用コードを複製、変更、配布、サブライセンスする権利が、使用権の取得者に対して自動的に打ち切られることになる(ここで注意しておくべきは、ほかのGPLの適用アプリケーションにまで拡張適用されない点であり、例えばGPLの違反行為がGaim というアプリケーションを配布したというものであれば、それはあくまでGaimに対して適用されるGPL条項への違反であって、すべてのGPLの適用コードに対する配布の権利を失うわけではなく、対象となるのはGaimだけなのである)。

 GPLv3の草案では契約の打ち切り条項が変更されて、「違反行為を適切な方法で通知することによって、発生から60日以内に」権利所有者はGPLに基づいた権利の提供を打ち切ることも可能、としている。これは逆に、違反者に対する通知および60日間の猶予という負担を権利所有者側に付加することを意味する。

 ウェルテ氏の見解によると、この新しい草案は「gpl-violations.orgに基づいたライセンス順守活動を実質的に不可能なものとするでしょう。この変更が不合理なのは、権利を取り消す前に、権利所有者側が違反者側に対して明示的な取り消しの通知を行う必要があり、さらに、法的措置を執る場合にしても……特定期間の待機を権利所有者側は強いられるのですから」。

 ウェルテ氏は、問題の条項がこのまま残された場合、規約の順守に寄与することになるのか疑わしいとしている。「順守しなかった場合の“罰則”が、権利所有者からの通知より60日以内にソースコードを提供する準備をすること、というだけであれば、製品を送り出す際にGPLを順守することに何のメリットがあるというのでしょうか?」

 ただしウェルテ氏も、今後のGPLv3草案では、取り消しに関する文言に変更が加えられるものと期待している。

 FSFの無料相談弁護士でありSFLCの議長を務めるエベン・モグレン氏の説明によると、FSF側としては「個々のコメントや解説者に対して非公式な場で答えることは」GPLv3のプロセスにとって“有害”であると考えているという。同氏によると、FSFは「過失による違反行為の発生数を抑制するためにFSFが有効と信じる方法に基づいてライセンスを明確化することおよび、違反行為の発生した場合の救済措置に関する問題を軽減するに当たって、幾つもの手順を踏んでおります。現行のライセンス草案の中に、故意ないし過失による違反行為に対して正当な権利を主張することを阻害する要素が含まれているとFSFは考えておりませんが、第三者の経験や意見を尊重する必要性から、あらゆるコメントを受け付けておりますし、必要な検討も加えてゆきます」、ということだそうだ。

成功率

 こうした取り組みは、成果を上げているのだろうか? 多くの時間や努力が必要とされるのは致し方ないものの、ライセンス順守活動への取り組みは着実に実を結びつつあるようだ。

 ウェルテ氏によると、gpl-violations.orgの活動は約99%の成功率を達成しているという。「ソースコードを取得できなかったケースは1件だけです。それは商品寿命の尽きた製品でしたし、すでに欧州のディストリビュータは製造元との契約を解除しています。そのほかのケースでは、すべてソースコードを入手できました」。

 「このプロジェクトは大きな影響力を与えていると、わたしはかなりの手応えを持って信じています」とウェルテ氏は語る。「企業側からもコミュニティー内からも多数のフィードバックが返ってきていますし、企業側の意識も確実に高くなっております」。

 GPLの規約違反の件数が増えているとしても、長期的に見た場合、それは必ずしも状況の悪化を意味するとは限らないようだ。ランドレイ氏は、違反件数の増加は、フリーソフトウェアの採用件数が高まったことの反映だと語っている。「見方を変えれば、全般的な状況は良い方向に進んでいると言えるでしょう。この問題は、ライセンスを無視している人間の比率が増えたからではなく、比率は同じでも分母となる数が増大したことによる結果なのです」。

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