コンプライアンス対策のための文書管理――改ざん防止と紙文書の電子化確実なコンプライアンス対策を実現する ドキュメント管理ソリューション(1/2 ページ)

現在ドキュメント管理ソリューションが注目されているのは、社内情報の漏えい防止に加え、e-文書法によって各種書類の電子データでの保存が認められたこと、そしてそれを進めたコンプライアンス対策の必要性がでてきたことだ。ここでは、コンプライアンス対策として、どのような機能が文書管理に求められるのかを見ていこう。

» 2006年05月16日 07時00分 公開
[ITmedia]

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文書の確実な保存がコンプライアンス対策の第一歩

 e-文章法などの各種法令によって、これまで紙による保存が義務付けられていたドキュメントの電子データ化が認められつつある。また、日本版SOX法など、財務会計の透明性を確保するために、ITを利用した内部統制を求める法整備も進められている。このようなコンプライアンスへの対策を考慮したドキュメント管理はこれまで例がなかっただけに、多くの企業はこれから取り組みを始めなくてはならない。

 コンプライアンス対策の最大のテーマと言えるのが、ドキュメントの保存である。コンプライアンス対策では、特に法令によって定められた公的文書について、ドキュメントの改ざんを確実に防止しなければならない。また、ドキュメントによっては、保存だけでなく、情報をすぐに取り出すための検索性も必須になる。

 また、日本版SOX法では、内部統制を実現するための最初のフェーズとして、あらゆる業務プロセスのドキュメント化が求められている。これは、業務プロセスをフロー図などを用いて可視化することで、内部統制に必要なチェック項目を抽出、実現できているかどうか確認することが目的だ。ここで作成されたドキュメントは、「作って終わり」というものではないので、保存よりも運用を考慮した管理が求められる。

ストレージやデータベースの機能で改ざんを防止

 コンプライアンス対応を考えたドキュメント管理ソリューションで最も重要なのは、改ざんを防止する保存技術である。これは、「非定型データを扱うには――コラボレーションソフトウェアとXMLデータベース」でも紹介したようなコンテンツ管理機能を備えたソフトウェアを利用することも有効だが、実際にはドキュメントを格納するストレージやデータベースが重要になってくる。

 ストレージ業界では、数年前から「情報ライフサイクル管理」(ILM=Information Lifecycle Management)という管理手法を打ち出し、ストレージの効果的な利用を訴えている。この情報ライフサイクル管理は、そのままドキュメントライフサイクル管理と読み替えることが可能だ。つまり、情報を文書ファイルなどの形で具現化したものがドキュメントであり、ドキュメントには作成→編集、更新→完成、保存→閲覧→廃棄というライフサイクルがある。そして、ライフサイクルのどの段階にあるかによって変化するドキュメントの重要度、利用頻度に合わせ、ドキュメントの保存先を変更するのである。

 ドキュメントライフサイクルとコンプライアンスを考えると、改ざんを防止するドキュメントの格納先として、いったん書き込んだデータは読み出せるが変更は不可能なWORM(Write Once Read Many)機能を備えたデバイスが大きな役割を果たす。WORMデバイスの代表として、以前からCD-RやDVD-Rなどの光メディアがよく利用されてきた。しかし、光メディアは1枚当たりの記憶容量や速度面での限界があり、検索、閲覧の多いドキュメントの管理には不向きである。そのため現在では、WORM機能を備えたディスクアレイが最適なソリューションとして考えられている。なお、作成されてから時間が経ち、ほとんど閲覧されることがなくなり、あとは法令で定められた期間保存することが目的であれば、光メディアやWORM対応のテープカートリッジが有効である。

 一方、改ざん防止という点では、ドキュメントを格納するデータベースの機能も重要になる。例えば、オラクルの「Oracle Database 10g R2」には、アプリケーションやデータに手を加えることなく自動的に暗号化して格納する機能が用意されている。また、日立の「HiRDB Version7」では表単位でWORM機能を実現するSQLコマンドが追加されている。こうしたデータベースをドキュメントの格納先とすることで、改ざん防止を実現できる。

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