インタビュー
» 2006年05月22日 15時26分 公開

Fedora Projectの理事会議長は未来志向Focus on People(1/3 ページ)

Fedora Projectの理事会Fedora Boardの議長であるマックス・スペバック氏に、Fedora Projectの現状と、向かおうとしている方向性について聞いた。

[Bruce-Byfield,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 「今のFedoraをご覧になれば分かるように、企業の利益になる一方で、それ自体にも存在価値がありコミュニティーのメンバーにも有益なプロジェクトは可能です」。Fedora Projectの理事会Fedora Boardの議長であるマックス・スペバック氏は、このように述べた。

 Fedoraは歴史的にRed Hatの影響下にあり多くを同社に頼るが、コミュニティーとして機能すべく発展を続けているとスペバック氏は言う。しかし、その実現は容易なことではない。設立当初の混とんから抜け出たばかりのFedoraは、すぐにも解決すべき幾つもの課題を抱えている。コミュニティーを運営するためのルールの確立、Red HatとFedoraの利害調整、ソフトウェア開発方針の改善など、コミュニティーの発展に必要な課題が目白押しなのだ。しかし、そうした困難にもかかわらず、良識ある人々が時間をかけて誠実に話し合えば、必要なリーダーはコミュニティーの中から現れ、また対立の解消に向けた道を見いだすことができる。スペバック氏はそう固く信じている。

Fedoraの過去

 Fedora Projectは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)を開発するコミュニティーベースの母体として2003年に設立された。しかし、その直後から苦難の歴史が始まる。まず、発足早々、このプロジェクトをめぐって論争が巻き起こった。Red Hat LinuxをRHELに替えたのは、Red Hatが企業利益のためにその出自であるコミュニティーを捨てようとしているからだと、多くの人が受け止めたのだ。さらに、Fedoraとい名称の商標化に対しては、類似の名称を持つCornell UniversityのFOSSプロジェクトから意義が申し立てられた。

 さらに重大な問題は、リリースが行われサブプロジェクトが生まれても、なお組織が定まらなかったことだ。先月開催されたLinuxfest Northwestで、Red HatのコミュニティービルダーであるGreg DeKoenigsbergが語ったところによると、同氏がこのポジションに就いた2004年10月時点――プロジェクトの設立から1年後――になってもFedora Projectにはまだまともな組織がなかったようだという。

 スペバック氏がRed Hatに入社したのはこのプロジェクトが設立された後のことだが、この点については同氏も認めている。「コミュニティーという点で見ると、(Fedora Projectの設立が)上出来だったわけではまったくないことは明白です。コミュニティーを作る上で限界もありましたし、確たる方法論があったわけでもありません。わたしたちはコミュニティーが生まれるのを待っていたのです。仕立てようとしたのではなく」

 しかし、今では状況は大きく改善されたという。「この一年で大きく前進しました」。これには、コミュニティーのニュースサイトFedoraNEWS.orgを創設したトーマス・チャン氏をはじめとするコミュニティーメンバーの積極的な貢献によるところが大きいという。

 混とんの中からFedoraは必然的過程として徐々に形を成してきた。スペバック氏はそう振り返りつつ、次なる発展について思いをめぐらしている。

人々の意見を反映するための仕組み、Fedora Board

 Fedoraコミュニティーの発展にかかわる最近の動きにFedora Boardの創設がある。2005年6月、Red Hatは、ボランティアの組織化と著作権や特許の管理のための機関としてFedora Foundationの創設計画を発表した。

 これに対して、スペバック氏とDeKoenigsbergの2人は猛然と反論し、フォーラムやRed Hat内部で行われた一連の議論で反対の論陣を張った。著作権などはOpen Invention Networkで管理可能であり、選挙制のコミュニティー理事会にできないことは財団にもできないと主張したのだ。その結果、財団構想は中止され、先月、Fedora Boardの創設が発表されたのだった。

 現在のFedora Boardは、Red Hatが任命した5人、コミュニティーを代表する4人、議長のスペバック氏から構成されている。コミュニティー代表については次の2つの方針が掲げられた。文書化やKDEパッケージなど、プロジェクトで見過ごされがちな点に目配りして選ぶこと。RHELを基にしたディストリビューションであるCentOSにもかかわること。

 スペバック氏によると、多様な分野からBoardメンバーを選ぶのは決定過程に幅広い声を反映させるためだという。「Fedoraをよりよくする人なら誰でも歓迎します。選り好みをするつもりはありません」。そして、次のように期待する。「一般ユーザーはわたしたちよりもさまざまなソフトウェアを使っています」。Boardメンバーの多様性を確保することにより「そうしたユーザーのニーズに応える必要性を常に意識することができますから、きっといい仕事ができるはずです」

 スペバック氏は、CentOSのような、Fedora(RHEL)に基づくディストリビューションを奨励することに、とりわけ関心があるという。「そうした(ディストリビューションに携わる)人々からFedora Projectが上流プロジェクトとして認知され支援されるようになればと考えています。それが彼ら自身の利益に直結するからです」

 現行Boardに代わる次期Boardの選挙手続きについては、今、fedora-advisory-boardメーリングリストで議論されている。スペバック氏は、少なくとも短期的にはBoardの議長は「Red Hatでわたし(スペバック氏)のポジションに着いた人」が続けることになるだろうが、それを除けばRed Hatの予約席はなくなり、議長以外のBoardメンバーは今議論されている手続きを経て選出されることになるだろうと見る。また、メンバーが Fedora Coreのリリースに2回かかわる――つまり約1年間在籍する――ことはなく、半数改選――「業務の継続性のために」――になるだろうという。

 ボードメンバーの選挙人の範囲についても議論されている。Debianには新しい開発者を受け入れるための正式手続きがあるが、Fedoraの基準はより緩やかなものになりそうだ。プログラマーとデバッガーは、その貢献からして当然含まれる。しかし、それ以外は、プロジェクトのwikiに登録すれば選挙人になれるようになるかもしれない。問題が発生したら「まず意思決定の手順を明確にした上で、懸案の問題あるいは事例を処理することになるでしょう」

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