「事前の削除」で無駄を一掃するマネジャーの教科書(2/3 ページ)

» 2006年05月26日 09時17分 公開
[Lion-Kimbro,IT Manager's Journal]
SourceForge.JP Magazine

実行の方法

 新しい何かを作ったり、受け取ったりしたら、いつまで必要になりそうかをその場で判断する。例えば、数週間という期間で作業をしているなら、その資料を削除する日を2カ月後に設定する。最長でいつまで必要になりそうかを考えて、削除日を決めればよい。また、削除日の情報は決まった方法で記録する。

 例えば、捨てても安全な期日を書類の右上隅に紫色のペンで記入するなら、常にその方法を守ること。一貫した方法を取り、削除日の情報がすぐに目に入るようにしておく。そうすれば、後で書類を見たときに、もう捨てていいかどうかを確かめるためにページ全体に目を通す必要がなくなる。いつもの記入場所を見て「おや、削除日が2年前になっている。ごみ箱行きだな」というふうに処理すればよい。

 穏やかな笑みを浮かべながら書類をクシャクシャに丸め、その姿に驚く友人や同僚を尻目に、ごみ箱めがけて軽やかに投げ込むのだ。書類をため込んでいる仲間たちは、いとも簡単に書類を捨てるあなたを見てきっと衝撃を受けるだろう。

 書類の場合。何かを書き上げたら必ず、いつになったら捨てても大丈夫かを考え、その時期を記しておく。ページに書き込みをしていて、それほど長く取っておく必要がないことが分かっている場合や、書類のうち数ページを使って考えをまとめているだけの場合は、そのページの面に赤いインクで軽く×印をつければよい。それでもそのページを使うことはできるはずだ。この印は「見たらすぐに廃棄せよ」という意味だ。

 当然のことだが、そのページを使っている時間内や当日は、捨てる必要がないことはお分かりだろう。だが、作業が終わった後にその書類を再び目にしたときには、このページをすぐに捨てていいことが分かる。

ためらってはいけない。ただ、ごみ箱に投げ込めばいいのだ。

 むしろ、それを楽しんでもらいたい。上機嫌な表情を作り出すことで、心の中にある迷いを断ち切ることができる。郵便物や雑誌など、机の上に置かれたものすべてについても同じように処理すればよい。その際、削除日には躊躇することなく従うことだ。

 保管期間がもう少し長めのものについては、バインダを利用するとよい。例えば、今日が6月7日で、2週間ほど必要な資料があるとする。この場合は、「6月」と記されたバインダに資料を綴じておき、7月になったらこのバインダの中身をすべて捨てるのだ。7月まで必要になりそうなら、7月用のバインダに綴じておけばよい。ただし、物事をだらだらと先延ばしにするのはよくない。最初に決めた削除日はきちんと守ろう。

 電子ファイルの場合。コンピュータで作業する場合も同様の処理ができる。tmpというディレクトリを作り、その中にあるものはすべて自分で削除できるようにパーミッションを設定し、そこで作業を行う。

 作業中に重要なファイルが出てきたら、保管用のディレクトリに保存する。そして、tmpディレクトリ内のものはすべて、その日の終わりに削除するのだ。ためらってはならない。翌日以降に残しておくべきファイルは、tmpディレクトリには入っていないはずだ。それにプログラマーなら、プロジェクトのソースコードをtmpディレクトリに入れたりはしないだろう。しかし、一時的なファイルやダウンロードしたファイル、使い捨てのプロジェクトファイルなど、ある期間しか使わないファイルはtmpディレクトリに入れておき、その中身は毎日削除を行うようにする。

 数日または1週間ほど残しておく必要があるなら、紙の資料の場合と同じく、月別のフォルダを用意すればよい。例えば、6月まで使うファイルはtmpjunフォルダに入れておき、7月になったらフォルダごと削除する。tmp2006というフォルダを作っておき、2007年になったらそのフォルダを削除することもできる。

 これまでの説明で考え方はお分かりいただけただろう。どんなメディアに対しても、いつになったら気兼ねなく捨てられるかを自分自身に伝える方法が見つかるはずだ。

 長期間保管しておかなければならない本当に貴重な資料であれば、赤字で記入された削除情報が見当たらないか、重要資料であることを示す何らかの印がついているかのどちらかなので、そのことがひと目で分かる。こうした重要な資料については、「事前の削除」とは反対のことをしなければならない。つまり、特別な保護スペースに保管しておくのだ。

Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.

注目のテーマ